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町場
「町場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
町場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
そう云いなさいと云う。押問答をしている内に、母はききつけて笑いながら、 「民やは
町場者《まちばもの》だから、股引佩くのは極りが悪いかい。私はまたお前が柔かい手足....
「駈落」より 著者:佐左木俊郎
町の人達が、田舎の金をみんな持って行ってしまうことは、爺さんも言っていた。自分の
町場へ生まれなかったことを彼女は残念に思った。
町場の娘達は、どんな貧しい家の娘で....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
の私の内へ、辷り込まれるんだ、と吻と息をした。ところがまた、知ってる通り、あの一
町場が、一方谷、一方|覆被さった雑木林で、妙に真昼間も薄暗い、可厭な処じゃないか....
「足迹」より 著者:徳田秋声
んでやった。気の荒い父親も旅へ出てからの妻や子に対する心持は優しかった。 ある
町場に近い温泉場へつれて行った時、父親はそこで三日も四日も逗留して、終いに芸者を....
「伸子」より 著者:宮本百合子
いうちゃあ何分経とうが立往生だよ。下りちゃおうよ、何でもありゃしねえや、たった三
町場ぐれえ」 その後の空いた席に、彼女は腰かけた。後の高い煉瓦崖にじりじり反射....
「映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
印象からいうと、それほどいやで見ていられないような場面や、退屈で腹の立つような長
町場もない。善良なる一日本人として時々は愉快な笑いを誘われるところもある。これを....
「黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
かと思ってるのだけっとも。」 「儲かっかも知れねえで。黒い鵞鳥! って言ったら、
町場の奴等は珍しがんべから。」 「何んて言っても、腹の立つのあ、権四郎爺さ。」 ....
「都会地図の膨脹」より 著者:佐左木俊郎
が得なんだべから……」 「得かも知んねえが、得だから得だからで、耕す土地を皆んな
町場にして了ったら、人間は一体、何を食ってればいいんだよ?
町場になって、工場が....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
を立つわけのものでもなし、道庵とても好んで脱線をしたがるわけでもありませんから、
町場を通り過ぎてしまえば、心にかかる雲もなく、道庵はいい気持で、太平楽《たいへい....
「山の湯雑記」より 著者:折口信夫
いつい山をおりて、米沢へ出ることが多かった。 暑き日のたまさか 山をおり来たり、
町場に入れば 疲れつつあり 百貨店のない都会は、何となく落ちついている。購買力を....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
雪のために進行が続けられなくなって、晩方|武生駅(越前)へ留ったのです。強いて一
町場ぐらいは前進出来ない事はない。が、そうすると、深山の小駅ですから、旅舎にも食....
「蜜柑」より 著者:佐左木俊郎
美代、大崎さは行ぐなよ。なんでもいいから、楽の出来っとごさ行げ。俺死ぬ時、汝は、
町場さ嫁にやるように遺言して死ぬがら……」 「俺、大崎など、死んでも行がねえ。婆....
「米」より 著者:犬田卯
も、誰かが来たように思ってはいたが――」 半年ばかり見ないでいるうちに、急に、
町場の青年らしく、大人びた忰を見た彼女は、最近人に見せたことのないような嬉しげな....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
にしてささやかな生計を立てていたのである。妹だという三十二三の女は、村に似合わぬ
町場の商売女のような風姿をして、なすこともなく家の中に遊んでいた。彼女は十年も「....
「遠野物語」より 著者:柳田国男
は陳勝呉広のみ。 昨年八月の末自分は遠野郷に遊びたり。花巻より十余里の路上には
町場三ヶ所あり。その他はただ青き山と原野なり。人煙の稀少なること北海道|石狩の平....