町外れ[語句情報] » 町外れ

「町外れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

町外れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
焼砂が足の指先に、ザクザク障るので、闇の中でも裾野を歩くという意識があるだけだ。町外れから、曲り拗《く》ねった路や、立木の暗い下を迂路《うろ》ついて、与平治茶屋....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
のだった。 けれども、やがて女は決心したように夫の側を離れると、云われるままに町外れの、小さな二階借の自宅へ引返して来た。そして半ば夢見るような気持で、まだろ....
雛妓」より 著者:岡本かの子
近郊のF――町は見物人の中に脂粉の女も混って、一時祭りのような観を呈した。葬列は町外れへ出て、川に架った長橋を眺め渡される堤の地点で、ちょっと棺輿を停めた。 ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
七年まだカルルスバート温泉が発見されぬ頃、同地から十マイルを隔てたエルボーゲンの町外れに、一つの奇蹟が現われた。それは、廃堂の床に、基督教の表象とされている魚と....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
共に、宿場の賑わいをも兼ねて見られる。 裾野の草が、人の軒下にはみ出るさびしい町外れとなって、板びさしの突き出た、まん幕の張りめぐらされた木造|小舎に、扶桑本....
」より 著者:海野十三
々の様子に、深い警戒を怠らないように見えた。 町は狭かった。だから彼は間もなく町外れに出てしまった。 闇の中に水田は、白く光っていた。そしてそこら中から、仰....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
|明や朝鮮や南海との公然または秘密の交通貿易の要衝で大富有の地であった泉州堺の、町外れというのでは無いが物静かなところである。 夕方から零ち出した雪が暖地には....
転機」より 著者:伊藤野枝
不案内な道を教えられるままに歩いて古河の町外れまで来ると、通りは思いがけなく、まだ新らしい高い堤防で遮られている道ばたで....
釣り師の心境」より 著者:坂口安吾
。塵もつもれば山となる、というのが釣りの心境かも知れない。 一度はずいぶん遠い町外れのタンボの中の水溜りであった。沼だの池などというわけに行かない。五間四方ぐ....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
だの、東京から背負ってゆく必要のない時であるから、なるべく重い目をしないように、町外れの最後の店で仕入れようという次第で、彼から最後の店の所在をきいてきていたの....
花束の虫」より 著者:大阪圭吉
の小さな町迄の間がこれ又案外の交通不便と来ている。だから大月と秘書の秋田が寂しい町外れの岸田家の別荘へ着いた時には、もうとっくに午後の二時を回っていた。 この....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
町が、一里の彼方、打ち開けた田畑の末に、黒く横仆っているのを、漠然と眺めやった。町外れの丘の一所が、火事かのように赤らんでいる。 「そうそう」と角右衛門が云った....
決闘」より 著者:神西清
く杖の音が、夜の静けさの中で高く淋しく響き渡るのに耳を澄ましながら、そう思った。町外れに出ると、やっと道も杖も見えだした。真黒な空のところどころに朧ろな斑があら....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
った言葉をその後になって口癖のように面白がって繰返していたからである。 学校は町外れにあったかと思うが、余はこの学校では講堂と教室と下駄箱と器械体操の棚だけを....
世間師」より 著者:小栗風葉
にしないのだ。 私は途方に晦れながら、それでもブラブラと当もなしに町を歩いた。町外れの海に臨んだ突端しに、名高い八幡宮がある。そこの高い石段を登って、有名なこ....