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「畏怖〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

畏怖の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
に露《あらわ》るることを免れない。一刀一拝した古人の用意はこの無意識の境に対する畏怖《いふ》を語ってはいないであろうか? 創作は常に冒険である。所詮《しょせん....
闇の絵巻」より 著者:梶井基次郎
るように見える谿《たに》向こうの枯萱山《かれかややま》が、夜になると黒ぐろとした畏怖《いふ》に変わった。昼間気のつかなかった樹木が異形《いぎょう》な姿を空に現わ....
船医の立場」より 著者:菊池寛
的な態度がワトソンを圧服した。ワトソンは木柵を掴《つか》んでいる自分の手が、ある畏怖《いふ》のために、かすかに震えるのを感じた。彼は二人の日本青年の命を救うため....
アッシャー家の崩壊」より 著者:佐々木直次郎
まりに具象的な幻想を見つめてさえ、その影すら感じなかったほどの、強烈な堪えがたい畏怖《いふ》の念が湧き起ったのである。 友のこの幻想的な概念の一つは、それほど....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、夜半四、五名の村民が、雨中月没後の湖上遙か栄光に輝ける牧師の死体を発見せるも、畏怖して薄明を待てり。牧師は他殺にて、致命傷は左側より頭蓋腔中に入れる銃創なるも....
応仁の乱」より 著者:菊池寛
死も、降服も訛伝であった。併し此の年の三月十九日には、鞍馬|毘沙門の化身と世人に畏怖せられて居た宗全も、本当に陣中に急逝したのである。 宗全の死に後れること約....
四条畷の戦」より 著者:菊池寛
ても敵せぬと、京都に報告して居る。小康を得て居た当時の京都の人心は為に恟々として畏怖動揺したとみえる。洞院|公賢は其の日記に此の仔細を記して居るが、京都の諸寺一....
温泉」より 著者:梶井基次郎
を衛っているのは家である。その忍苦の表情を見よ。彼は虚無に対抗している。重圧する畏怖の下に、黙々と憐れな人間の意図を衛っている。 一番はしの家はよそから流れて....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
現わしたのだ。胎龍はそれを超自然界からの啓示と信じて、やがて下ろうとする裁きに、畏怖と法悦の外何事も感じなくなってしまった。それが、所謂健否の境界なんだよ――精....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
諦めとを知らぬ粗剛の性格と思うならあやまりである。 鎌倉幕府の要路者は日蓮への畏怖と、敬愛の情とをようやくに感じはじめたので、彼を威迫することをやめて、優遇に....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
ではないか。 すると、再びあの苦悩が、しんしんと舞いもどってきて、彼女は、深い畏怖に打たれた声で叫んだ。 こうして、尽きせぬ名残りと殺害者の謎――またフロー....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
止め! お前はもう悪い子じゃなくなったの! けらお (頭上を見上げ、突然、一種の畏怖にとらわれたように叫ぶ)あッ! 蝶々だ! 蝶々だ! あんなにたくさんあげはが....
暗黒星」より 著者:黒岩涙香
にも思われた。 三十七 ここに至ると人心は妙なものだ。太古の人種と同じ様に一種|畏怖の意味を持った宗教心が起こって来た。かかる宗教心は最早数知れぬ長い時代の間、....
憑き物系統に関する民族的研究」より 著者:喜田貞吉
天狗はかく恐るべきものとして信ぜられたから、人間はなるべくこれに親しまず、これを畏怖敬遠するの途を取る。飛騨の上宝村において、白山を祭った氏神の社に詣でた氏子一....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
空気。 なにしろ、一同、生れて初めて見た截断刃、大斧、粉砕機などに仰天し戦慄し畏怖しきっているのだから、突然、しゅうしゅうと斜め下ろしに吹きまくって来た亜硫酸....