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留める
「留める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
留めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
べをする人もなく、他の正しい道を教えてくれる人もなかった。たまたま大きな声で呼び
留める人があるかと思えば、裏表《うらおもて》の見えすいたぺてんにかけて、昔のまま....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
は――はれて雀のものがたり――そらで嵐雪の句は知っていても、今朝も囀った、と心に
留めるほどではなかった。が、少からず愛惜の念を生じたのは、おなじ麹町だが、土手三....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
さようなら。……」 格子戸の音がしたのは、客が外へ出たのである。その時、お蔦の
留めるのも聞かないで、溝なる連弾を見届けようと、やにわにその蓋を払っため組は、蛙....
「星あかり」より 著者:泉鏡花
を懸けて、戸を敲いて、開けておくれと言えば、何の造作はないのだけれども、止せ、と
留めるのを肯かないで、墓原を夜中に徘徊するのは好心持のものだと、二ツ三ツ言争って....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
の影!」 「ええ、静にしてくらっせえ、……もう近えだ。」 と仁右衛門は真面目に
留める。 「おい、手毬はどうして消えたんだな、焦ったい。」 「それだがね、疾え話....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
られない。 (可厭だ、可厭だ、可厭だ。)と、こっちは夢中に出ようとする、よける、
留める、行違うで、やわな、かぐら堂の二階中みしみしと鳴る。風は轟々と当る。ただ黒....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
が散っても、そのまま直ぐに、すらすらと行方も知れず流れよう、それをしばらくでも引
留めるのは、ただちっとも早く幕を開ける外はない、と松崎の目にも見て取られた。 「....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
ちそうに縋ったのを、密と取ると、羽織の肩を媚かしく脱掛けながら、受取ったと思うと
留める間もなく、ぐ、ぐ、と咽喉を通して一息に仰いで呑んだ。 「まあ、お染。」 「....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
多い。誰も彼も多いと云う。 念のために、他所見ながら顔を覗いて、名を銘々に心に
留めると、決して姫が殖えたのではない。定の通り十二人。で、また見渡すと十三人。 ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
に、なぜ、かかさんをぶたしゃんす、もうかんにんと、ごよごよごよ、と雷の児が泣いて
留める、件の浄瑠璃だけは、一生の断ちものだ、と眉にも頬にも皺を寄せたが、のぞめば....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
なる。」 「施す。」 「……施す、妙だ。いや、待った。待った。」 と掌で押えて
留めるとともに、今度は、ぐっと深く目を瞑って、 「学海施一雪紅楼夢――や不可え。....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
ちょろりと入って隠れてしまった。 新庄通れば、茨と、藤と、 藤が巻附く、茨が
留める、 茨放せや、帯ゃ切れる、 さあい、さんさ、よんさの、よい....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
思いがけない、物珍らしさ。そのずんど切な、たらたらと濡れた鼻頭に、まざまざと目を
留めると、あの、前世を語りそうな、意味ありげな目で、熟と見据えて、むぐむぐと口を....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
にしましたから、 (光かい、光や、) と呼んで、二階の上り口へ来ましたのを、押
留めるように、床の中から、 (何んだね、) と自分でも些と尖々しく言ったんです....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
江戸ッ児の面汚し、さあ、合点が出来ねえぞ、)とぐるぐると廻って突立つから、慌てて
留める婆さんを、刎ね飛ばす、銚子が転がる、膳が倒れる、どたばた、がたぴしという騒....