異数[語句情報] »
異数
「異数〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
異数の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「道草」より 著者:夏目漱石
要するに彼はこの吝嗇な島田夫婦に、よそから貰《もら》い受けた一人っ子として、
異数の取扱いを受けていたのである。 四十一 しかし夫婦の心の奥には健三に対する....
「特許多腕人間方式」より 著者:海野十三
いたではないか。出願してから、まだ三週間にもならないのに、この通知に接するとは、
異数のことである。余は、大いによろこんで、その通知書を読んだ。ところが、これは、....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
にこそ、名君を以て任ずる将軍綱吉公は、この名門の後裔を世に出そうという配慮から、
異数の抜擢をして問題の人長門守を大阪城代に任じたのが前々年の暮でした。然るに、こ....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
際三百坪は無い、三百坪なくて取立てるのはその割で取る、地主と半々に分けるところは
異数な位だ。そこで小作人の苦情が起る。無智な小作人がまた地主に対する態度は、種々....
「縮図」より 著者:徳田秋声
った。三村は千万長者といわれ、三十七八年の戦争の時、ぼろ船を買い占めて儲けたのは
異数で、大抵各方面への投資と土地で築きあげた身上であり、自身に経営している産業会....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
でないもの、組織的なものを求める傾向が、この青年の中にある。ポリネシア人としては
異数のことだ。彼に比べると、白人ではあるが、料理人のポールなど、遥かに知的に劣っ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ないまでも、その先、その先をいってしまいたがるこのお喋《しゃべ》り法師としては、
異数の現象でありました。 「それでは無理におたずねは致しますまい」 とお銀様が冷....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
から皆転任せしめられたのである。そこで私だが、前にもいった如く、最初、その頃では
異数の抜擢に逢って、学務課で働く事が出来、肝付兼弘氏が他へ転任してからは、学務課....
「画舫」より 著者:豊島与志雄
それも、若い頃はさほど美人でもなかったが、年をとるにつれて美しくなってきた。全く
異数の女だ。」 人々は意味ありげに眼を見合せました。 「その上、財産もあるとい....
「秦の出発」より 著者:豊島与志雄
その他の日華人少数だった。 事務所の様子も風変りだし、碁盤があるのも、上海では
異数だが、内実も、ここでは特別な取引が行なわれていたのである。数十万の現金、時に....
「空家の冒険」より 著者:ドイルアーサー・コナン
を感じさせられたのであった。この衝動と驚異はたしかに、私の冒険生活の中でも、断然
異数とするものであったと思っている。その後もうかなりの長い時日が経っているのであ....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
倍くらいの働きをして、とうとう古参の者を凌駕するに至りましたが、これはほんとうに
異数のことでありました。 惜しいかなある夏ふとしたことから病みつき、僅か数日に....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
けたいですね。小生余計な世話を焼いて失敬だが『ホトトギス』が三、四千出るのは寧ろ
異数の観がある、決して常態ではない。油断をしては困る事になると思います。そんなら....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
としたからで、坪内博士の如く初めから劇や小説を生涯の仕事とする決心で起ったものは
異数であった。徳冨蘆花が『ほととぎす』に名を成した後の或る時「我は小説家たるを恥....
「九谷焼」より 著者:中谷宇吉郎
ではなく、研究するということの霊感を感応《かんのう》し体得することの出来たような
異数に幸運な学生を除いては、通り一遍のままで卒業した多数の学生には、それは無理も....