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「異臭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

異臭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
悶《もだ》えた。 そこには、腐爛しかかった仔鹿《かよ》の首から、排泄物のような異臭が洩れていて、それがあの堪えられぬ、産の苦痛を滝人に思い出させた。しかし、現....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
いた。 そして扉の前に立つと、異様な臭気が流れて来て、その腐敗した卵白のような異臭には、布片で鼻孔を覆わざるを得なかったのである。然し室内には、曽て何人も見な....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
った。 「瓦斯だッ」 と気のついたときには、既に遅かった。魚の腸が腐ったような異臭が、身の周りに漂っているのだった。胸の中は、灼鉄を突込まれたように痛み、それ....
」より 著者:海野十三
うな怪音が、その翅のあたりから聞えてきた。蓮池のような口吻が、醜くゆがむと共に、異臭のある粘液がタラタラと垂れた。 「ぎゃーッ」 私の頭の上から、そのムカムカ....
河明り」より 著者:岡本かの子
すよ」社長はこんな冗談を云った。 官庁街の素気なく白々しい建物の数々。支那街の異臭、雑沓、商業街の殷賑、私たちはそれ等を車の窓から見た。ここまで来る航行の途中....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、犯人の素晴らしい素質が怖ろしくなってくるのだ。考えても見給え。あれほど際立った異臭や特異な苦味のある毒物を、驚くじゃないか、致死量の十何倍も用いている。しかも....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
け殻のように歩いてゆく。 全身泥まみれで髭はのび、マヌエラまで噎っとなるような異臭がする。そしてこの辺から、巨樹は死に絶え、寄生木だけの世界になってきた。これ....
千早館の迷路」より 著者:海野十三
ない体であった。遠くから見たとは又別の感じがする本館であった。遠くから見たときは異臭|紛々たる感じがする臓腑館のように見えたものが、こうやって間近に寄って眺める....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
から汚れきった破れ目だらけの服を出し、ぺちゃんこになったパンに新聞紙に、それから異臭を放つ皺くちゃのハンカチーフ迄、すっかり卓子のうえに取出した。 「その外に、....
流線間諜」より 著者:海野十三
村探偵は、内部を覗くと同時に思わず弾かれるように身を引いた。その樽の中には室内の異臭を作っている原因の一つがあったからである。 それは又、危く彼が陥りかけた恐....
時 処 人」より 著者:岸田国士
(筈である……) ただ今、私が住んでいる小田原の家というのは、隣りの缶詰工場の異臭と怪音を除けば、斎藤緑雨のいわゆる「海よし、山よし、天気よし」の三拍子そろつ....
」より 著者:織田作之助
がつかないのである。得体の知れぬ部屋の悪臭をかぎながら、つまりこれがおれの生活の異臭なんだと、しかしちょっと惹きつけられてみたり、そうかと思うと、それを毎夜なん....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
。其前に船中の人いきれに、喉の乾きを覚えた時、お鉄が呉れた湯冷しというに、何やら異臭が有った。邪推して見れば毒薬でも服まされたか知れなかった。 それからお鉄の....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
、醜く焼け朽ち、地面の上に、炭壁からにじみ出たコールタールまがいの瓦斯液が、処々異臭を発して溜っているだけで、歩けども進めども、峯吉の骨はおろか、白い骨粉ひとつ....
余齢初旅」より 著者:上村松園
帰って来て再びとりかかるまでじっと待っている。 人が沢山たかって来ると何という異臭の強いことであろうか……。 女の人が店番をしていて御飯をたべている。大きな....