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異郷
「異郷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
異郷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
眺めながら、暫くそこに立ち尽くしていた。 前の下歯と後の上歯と、いずれもそれが
異郷の出来事であった為に、記憶に深く刻まれているのであろうが、こういう思い出はと....
「わが町」より 著者:織田作之助
かかり、時にはぐらぐらした岩を足場に作業して貰わねばならぬと言う。 ただでさえ
異郷の、こんなところで働くのかと、船の中ではあらくれで通っていた連中も、あっと息....
「最古日本の女性生活の根柢」より 著者:折口信夫
て移動してきた同民族の落ちこぼれとして、途中の島々に定住した南島の人々を、すでに
異郷人と考えだしていた。その南島定住者の後なる沖縄諸島の人々の間の、現在亡びかけ....
「博物誌」より 著者:岸田国士
を交し、そして突然、互いに絡み合うように痙攣するにしても―― こっちの一羽が、
異郷の空から、一通の手紙を持って帰って来て、さながら遠く離れた女の友の思いのよう....
「詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
。「実をとりて胸にあつれば新なり。流離の憂ひ。海の日の沈むを見れば、たぎり落つ。
異郷の涙」と言った藤村の「椰子の実」は、柳田先生の与えた最強い暗示から出た。藤村....
「茶の本」より 著者:岡倉由三郎
をニューヨークのセンチュリ会社から出版したのもこの年の十一月である。 こうした
異郷の空のほとんど定期になった半歳の間、ドクタ・ビゲロ、ミセス・ガードナその他の....
「はなしの話」より 著者:岡本綺堂
りを眺めながら、暫くそこに立尽していた。 前の下歯と後の上歯と、いずれもそれが
異郷の出来事であったために、記憶に深く刻まれているのであろうが、こういう思い出は....
「城」より 著者:カフカフランツ
。自分は道に迷っているのだ。あるいは自分より前にはだれもきたことのないような遠い
異郷へきてしまったのだ。この
異郷では空気さえも故郷の空気とは成分がまったくちがい....
「判決」より 著者:カフカフランツ
事情はさっぱりわからない、と彼自身がいったではないか。――それで彼はどうあろうと
異郷にとどまることだろう、友人たちの忠告に不愉快な思いをし、友人たちといっそう疎....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
藤の下にいるのが見える。) 一夜窓前坐、知吾在香。 (一夜窓の前に座して、自分が
異郷にいることをしみじみと思う。春風のふく十五夜、月の光は李の花にさしこんで香り....
「不死の薬」より 著者:小川未明
船を見ていますうちに、そのかいもなく、ふと病にかかって、それがもとになって、遠い
異郷の空でついに死くなってしまいました。 「それからどうなったい。」 と、甲が丙....
「古事記」より 著者:太安万侶
よみ》の國 ――地下にくらい世界があつて、魔物がいると考えられている。これは
異郷説話の一つである。火の神を斬る部分は鎭火祭の思想により、黄泉の國から逃げてく....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
たちであった。 * 大陸的な樺太の八月の驟雨である。いかにそれが
異郷風の壮観であったかは想像してくれたまえ。 私は眺めていた。庁舎の押上げ窓の....
「わが町」より 著者:織田作之助
いあかりが芝生を濡らしていた。美術館の建物が小高い丘の上にくろぐろと聳え、それが
異郷の風景めいて、他吉は婿の新太郎を想った。 白いランニングシャツを着た男が、....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
には白っちゃけたゆるい丘が横たわって、なんとなく神戸に似た風情である。初めて踏む
異郷の土に、ふととまどいを感じたが落着く先があるので私の心は案外軽かった。しかし....