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疎
「疎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
疎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
漢《かん》の大将|呂馬通《りょばつう》は、ただでさえ長い顔を、一層長くしながら、
疎《まばら》な髭《ひげ》を撫でて、こう云った。彼の顔のまわりには、十人あまりの顔....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
る窓の外の空へ眼を落した。そこにはまた赤い柿の実が、瓦屋根の一角を下に見ながら、
疎《まば》らに透いた枝を綴《つづ》っている。
老人の心には、この時「死」の影が....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
しく何か爆《は》ぜる音がして、金粉《きんぷん》のような火粉《ひのこ》がばらばらと
疎《まば》らに空へ舞い上りました。私は気の違ったように妻へ獅噛《しが》みつきまし....
「影」より 著者:芥川竜之介
の重《かさ》なったここへは、滅多《めった》に光を落して来ない。が、海の近い事は、
疎《まばら》な芒《すすき》に流れて来る潮風《しおかぜ》が明かに語っている。陳はさ....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
思いませんか?」
オルガンティノは茫然と、老人の顔を眺め返した。この国の歴史に
疎《うと》い彼には、折角《せっかく》の相手の雄弁も、半分はわからずにしまったのだ....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
》も見せなかった。
やがて寺の門の空には、這《は》い塞《ふさが》った雲の間に、
疎《まばら》な星影がちらつき出した。けれども甚太夫は塀に身を寄せて、執念《しゅう....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
る訳じゃないが、ともかくも松とか檜《ひのき》とかが、ここだけは人足《ひとあし》の
疎《まば》らな通りに、水々しい枝葉《えだは》を茂らしているんだ。
「こんな所へ来....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
と向うを眺めたと思うと、突然相手も忘れたように、飾り窓の前を飛び出した。人通りも
疎《まばら》な往来には、ちょうど今一台の人力車《じんりきしゃ》が、大通りをこちら....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
客は斑白《はんぱく》の老紳士で、血色のいい両頬には、聊《いささ》か西洋人じみた
疎《まばら》な髯を貯えている。これはつんと尖った鼻の先へ、鉄縁《てつぶち》の鼻眼....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
僕の心もちはO君にははっきり通じたらしかった。
そのうちに僕等は松の間を、――
疎《まば》らに低い松の間を通り、引地川《ひきじがわ》の岸を歩いて行った。海は広い....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
である。
池大雅
「大雅《たいが》は余程|呑気《のんき》な人で、世情に
疎かった事は、其室|玉瀾《ぎょくらん》を迎えた時に夫婦の交りを知らなかったと云う....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
ばかりではありません。翁には主人が徹頭徹尾《てっとうてつび》、鑑識《かんしき》に
疎《うと》いのを隠したさに、胡乱《うろん》の言を並べるとしか、受け取れなかったか....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
。庭には何もないと言っても、この海辺《うみべ》に多い弘法麦《こうぼうむぎ》だけは
疎《まば》らに砂の上に穂《ほ》を垂れていた。その穂は僕等の来た時にはまだすっかり....
「運」より 著者:芥川竜之介
しく、黄牛《あめうし》に曳《ひ》かせた網代車《あじろぐるま》が通った。それが皆、
疎《まばら》な蒲《がま》の簾《すだれ》の目を、右からも左からも、来たかと思うと、....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
も、菊池と或問題を論じ合うと、その議論に勝った時でさえ、どうもこっちの云い分に空
疎な所があるような気がして、一向勝ち映えのある心もちになれない。ましてこっちが負....