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「疑惧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

疑惧の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
島は聞いていたのであったが、女にどんな手があるか解らないような、恐怖《おそれ》と疑惧《ぎぐ》とを感じて来た。 三十七 植源の嫁のおゆうの部屋で、鶴さんと大....
三四郎」より 著者:夏目漱石
この時じっと座に着いていることのきわめて困難なのを発見した。背筋から足の裏までが疑惧《ぎぐ》の刺激でむずむずする。立って便所に行った。窓から外をのぞくと、一面の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
まさしく泥棒の仕業であります。しかしもう心のいっぱいに張りきっている米友は、更に疑惧《ぎぐ》するところがありません。戸でもあいていたなら、そこから家の中へ入って....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
つぎのクラモウはバントした、手塚はそれを取って二塁へ投げようか一塁へ投げようかと疑惧してるうちに双方を生かしてしまった。三番は千三である。 「ぷうぷうぽうぽう」....
道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
のき乱る。僧徒らみずから私に懐きたる恐怖に、まのあたり面あえりしごとく、おのおの疑惧の眼を交う。間。 第四段 風の声ようようはげしくなりまさりて、不断....
砂漠の情熱」より 著者:豊島与志雄
エールを陥れ、ナポレオンに悲鳴をあげさせた、この冷血で無節操で無性格な男は、常に疑惧と嫌悪との対象となり得る。 三十幾歳の血気盛りなるべき頃からして既に彼は―....
茶の本」より 著者:岡倉由三郎
れ、生まれ持った直情径行の気分はまた少なからず誤解の種をまいてついには有司にさえ疑惧の眼を見はらしめるに至った兄は、いまさらのように天地のひろさを思い祖国のため....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
して対話は終わった。エドモンズ夫人はこの事件で「よい便利」にありつくことになんの疑惧も持たなかった。そして値だんを二百ポンドに吊りあげたのである。彼女は事態をよ....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
をさせたものじゃ」 こう、叱っている阿波守が、すでに迷信から生じる一種の不安と疑惧におそわれつつあるような心理が、三位卿には不解であった。 「それみたことか」....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
となり、時間の差だけは取り返して余りがある。 かれの消息については、漠然として疑惧をもっただけで、徳島の城下を離れてきた有村や三人組、もとより間髪の差で、ここ....