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「疑懼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

疑懼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
古典風」より 著者:太宰治
美しい子です。ドミチウスは、ロオマの子です。ドミチウスを殺しては、いけません。』疑懼《ぎく》のカリギュラは、くすと笑った。よし、よし。罪一等を減じてあげよう。遠....
オリンポスの果実」より 著者:田中英光
はデレゲェションバッジをなくなし、皆《みんな》にまた口汚《くちぎた》なくいわれる疑懼《ぎく》と、ひとつは日頃《ひごろ》嘲弄《ちょうろう》される復讐《ふくしゅう》....
散華」より 著者:太宰治
山岸さんの判定を、素直に全部信じる事が出来なかったのである。「どうかなあ」という疑懼が、心の隅に残っていた。 けれども、あの「死んで下さい」というお便りに接し....
運命」より 著者:幸田露伴
て隙無く、平安は驍勇にして奇を出す。我軍は再戦して再挫し、猛将多く亡びて、衆心|疑懼す。戦わんと欲すれば力足らず、帰らんとすれば前功|尽く廃りて、不振の形勢|新....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
ころでは無い、瞬く間に踏潰《ふみつぶ》されて終うか、然《さ》無《な》くとも城中|疑懼《ぎく》の心の堪え無くなった頃を潮合として、扱いを入れられて北条は開城をさせ....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
ら見た 「にッたり」 の木彫に出会って、これが自分で捌き得る人物だろうかと、大に疑懼の念を抱かざるを得なくなり、又今更に艱苦にぶつかったのであった。 主人の憤....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
ことができたのである。 しかしこの時、彼の心中には、全く種類を異にしたある別の疑懼《ぎく》の念が蠢動《しゅんどう》していた。しかも自分ではっきりとそれを把握す....
或る女の手記」より 著者:豊島与志雄
ど、そうだとはっきり肯定することの出来ないようなものが、私の心の中に在った。私の疑懼の念はまた高まってきた。 私はその頃、眠れないことがよくあった。夜中にふと....
立枯れ」より 著者:豊島与志雄
恐らくは筋肉や皮膚や内臓や……否殆んど全身の組織の弛緩は、中江が漠然と而も不断に疑懼していたことだった。いやいや、診察なんかは……とそう咄嗟の反撥の気持が、すぐ....
明日」より 著者:豊島与志雄
に立っていると、そこから墜落はしないことを知っていながら、墜落しはすまいかという疑懼のために後に引戻されることがある。これは日常性の復讐だ。この復讐は、強力であ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
と幸福とを奪い、日の光に当たってる、あれら死人同様の者ども!…… クリストフは疑懼《ぎく》しなかった。彼女にたいしてごく懇切であり、あまりに懇切すぎた。大きな....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た。けれどもただ、金のある結婚にたいするクリストフの不当なやや滑稽《こっけい》な疑懼《ぎく》には、同感できなかった。富は魂を滅ぼすという考えは、クリストフの頭に....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
咄をして、「境涯が境涯だから人にも賤しめられ侮られているが、世間を呑込んで少しも疑懼しない気象と、人情の機微に通ずる貴い同情と――女学校の教育では決して得られな....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
殊に『其面影』は二十年ぶりの創作であったから、あたかも処女作を発表する場合と同じ疑懼心が手伝って、眼が窪み肉が瘠せるほど苦辛し、その間は全く訪客を謝絶し、家人が....
澪標」より 著者:外村繁
「変なことをしてみろ。承知しないから」 情夫、情婦、私生児、窃盗嫌疑、堕胎|疑懼《ぎく》等、凡そ善良な人間に関係のある言葉ではない。私がとく子を愛したばかり....