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「疚しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

疚しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
久次郎が母に責められて、その無実を明らかに証明し得なかったのも、やはりその内心に疚しいところがあったからであった。式部におびやかされ、母に責められても、美しい行....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
厨川朔郎と云う男には、犯人としても、また優れた俳優としての天分もある。けれども、疚しい所のない人間と云うものは、鳥渡した悪戯気から、つい芝居をしたくなるものだが....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
――」 「好いじゃないか」 渡辺は押被せるように云った。 「何を云ったって君に疚しい所がなければ差支えないじゃないか」 「所がその」 浅田は困惑しながら、 ....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
陪審官たちの顔は彼等がそういう詩句については少しも知らぬことに気がついていささか疚しいような色を表した)、ある意味では伝染するものであり、愛国心、すなわち国を愛....
かもじの美術家」より 著者:神西清
ますよ、何を捜しに見えたのかは。ですがな、わしはその、伯爵閣下にたいして、なんの疚しいところもないですわい。神明に誓って、疚しいことはありませんわい。断じてその....
六号室」より 著者:瀬沼夏葉
見れば実に愚々しい次第で、拘引されるだの、獄舎に繋がれるなど云うことは良心にさえ疚しい所が無いならば少しも恐怖るに足らぬこと、こんなことを恐れるのは精神病に相違....
蟇の血」より 著者:田中貢太郎
った。で、腰をあげて歩きかけたが、そっと往くのは何か野心があってねらい寄るようで疚しいので、軽い咳を一二度しながらいばったように歩いて往った。 女は咳と跫音に....
」より 著者:徳田秋声
な鞄を控えているということは、先生のこれまでには見られない図であった。 笹村は疚しいような気がした。原稿の出来るのと、先生の死と――いずれが先になるか、それは....
或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
さんを立派に誘惑してみせますわ。それがあなたのお望みなんでしょう。あなたは自分が疚しいものだから、私にもけちをつけたいんでしょう。」 「お前はそんなめちゃなこと....
香奠」より 著者:豊島与志雄
いた方が面白いから、そうしてるだけなんです。」 彼の答えは如何にも平明で、何等疚しいところもなさそうです。それかといって私にはやはり腑に落ちないんです。そして....
反抗」より 著者:豊島与志雄
云って貰いたいこと、そんな風に彼は云い進んだ。然し云ってるうちに、自分の方に或る疚しい点が感じられてきた。自ら気分が苛立ってきた。彼は一転して隆吉を攻撃しだした....
魔都」より 著者:久生十蘭
、もともと安南皇室に代々伝わったもので、宗竜王の財産だ。売ろうと估《こ》かそうと疚しいことなんぞ少しもない。素直にしていれば、却って手足をもがれて、身につく金も....