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疲弊
「疲弊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
疲弊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
意識のしびれきるような陶酔にひたった。しかしその酔いがさめたあとの苦痛は、精神の
疲弊と一緒に働いて、葉子を半死半生の堺《さかい》に打ちのめした。葉子は自分の妄想....
「熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
ぼう》の言葉だった。 露国との戦争が済んでから間もない頃で、日本の農村は一般に
疲弊《ひへい》していた。彼等の村はことにひどいようだった。――稼人《かせぎて》を....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
姓ばかり食うや食わずにいる法はないという腹ができて来ます。それに、ある助郷村には
疲弊のために休養を許して、ある村には許さないとなると、お触れ当ては不公平だという....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
は宿方と助郷との差別なく、すべて打ち込みにしたいとの説が出る。十一宿も追い追いと
疲弊に陥って、初めての人馬を雇い入れるなぞには困難であるから、当分のうち一宿につ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
驚き、それらのみずみずしい五木がみな享保年代からの御停止木であるにも驚き、そこに
疲弊した宿村の救いを見いだそうとしたことは無理だったろうか。彼らが復古のできると....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
そっと入ったりしているうちに、また逗子へも行くことになった。 そのころ大戦後の
疲弊から、西欧の一流芸術家が、まだしも経済状況の比較的良かった日本を見舞って、ち....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
ければ、まして元より以上に良いものなどになる気づかいはない。軍部は初め農山漁村の
疲弊を口を極めて絶叫したが、後にはそれどころではなく、四割七分の軍備費は日本の資....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
――十四|哥。 白樺・白樺・白樺。 夕陽が汽車を追って走る。 赤い日記
疲弊。無智。不潔。不備。文盲。陽気。善良。貧乏。狡猾。野心。術数。議論。思潮。芸....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
こに、人生をながめる務めを他人に譲ってる――他人の代理となって感じてる――一つの
疲弊した時代の徴候を、見て取っていた。時代が自分の眼をもって、人生の反映たる芸術....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
という国は人口が多い。人間どもが繁殖しすぎる。こんなに繁殖すると、人口過剰で国運
疲弊するが、洪水だのカンバツだのと天災が多くて、おかげで年々五十万もの百姓どもが....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
つき合って眠り、万物はそれぞれの道を流れる。 第八章 田舎における貴族 窮乏し
疲弊したフランスのある田舎。前章の翌々日の日没頃から夜へかけて。侯爵は彼の領地へ....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
然と私の心も爽々しく、腕もまた、鳴るように思われたが、仏師の仕事は前申す通り全く
疲弊していることとて、木彫りの仕事は一向にない。注文がさらにありません。これには....
「老狸伝」より 著者:佐藤垢石
った。多くの藩士はすべて川越へ去ったので、市中の商人はひどく衰え、町家は年と共に
疲弊して町のなかへ田や畑が現われるという状態となった。市中へ、一つ目小僧や、大入....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
去年は全部駄目と来ているから、今年はどんなに良くても小作はつらいんです。――余程
疲弊してるんで……。」 「ん……で、どうだい様子は……?」 「え、今のところは…....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
憐れな自分を見せつけ見せつけ縋りつくのである。自分の中の二つの争いには、ほとほと
疲弊困憊した慧鶴青年は、何等か心を転ずるものを求めようとすればそこに、土足で乳の....