»
疾い
「疾い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
疾いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
堪りかねて、先生と、呼んで、女中が寝ていますと失礼ですから、一足! と云うが
疾いか、(お先へ、)は身体で出て、横ッ飛びに駈け抜ける内も、ああ、我ながら拙い言....
「星あかり」より 著者:泉鏡花
然なすべく働いて居るのであるが、自分は余り大陸の一端が浪のために喰欠かれることの
疾いのを、心細く感ずるばかりであった。 妙長寺に寄宿してから三十日ばかりになる....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
は、お富士様、お諏訪様がた、お目かけられものかも知れない――お待ち……あれ、気の
疾い。」 紫の袖が解けると、扇子が、柳の膝に、丁と当った。 びくりとして、三....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
しゃります通り、道はなぞえに、向へ低くはなりますが、下り坂と云う程ではなし、その
疾いこと。一なだれに辷ったようで、やっと石段の下で、うむ、とこたえて踏留まります....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
、)と縋るようにして言ったか言わぬに、(猿曳め、汝ゃ、婦に、……畜生、)と喚くが
疾いか、伸掛って、ピシリと雁首で額を打ったよ。羅宇が真中から折れた。 こちらの....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
くるりと入口へ仕切られた背中になると、襖の桟が外れたように、その縦縞が消えるが
疾いか、廊下を、ばた、ばた、ばた、どたんなり。 「お入ンなさい、」 「は、」 ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
たようであるが。 (待て。) 案内をして、やがて三由屋の女中が、見えなくなるが
疾いか、ものをいうよりはまず唇の戦くまで、不義ではあるが思う同士。目を見交したば....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
い、と圧した小腕ながら艪を圧す精巧な昆倫奴の器械のよう、シッと一声飛ぶに似たり。
疾い事、但し揺れる事、中に乗った幼い方は、アハハアハハ、と笑って跳ねる。 「豪い....
「露肆」より 著者:泉鏡花
のが立ったと思うと、 「大福餅、暖い!」 また疳走った声の下、ちょいと蹲む、と
疾い事、筒服の膝をとんと揃えて、横から当って、婦の前垂に附着くや否や、両方の衣兜....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
も終らず、滝太郎はつかつかと庭に出て、飛石の上からいきなり地の上へ手を伸ばした、
疾いこと! 掴えたのは一疋の小さな蟻。 「おいらのせいじゃあないぞ、何だ、蟻のよ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
した、清い調子で、 (姉さん、この方を留めて下さい、帰しちゃ厭よ。) と言うが
疾いか、すっと、戸口の土間へ、青い影がちらちらして、奥深く消え込んだ。 私は呆....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
危険だからって、ちょいちょい縄を解いて放してやったことが幾度もあった。 放すが
疾いか、猿は方々を駈ずり廻って勝手放題な道楽をする。夜中に月が明い時、寺の門を叩....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
になっている才子の傍へ、そッと差置いて退ろうとする。 「待ちねえ。」 というが
疾いか、愛吉は手を伸してむずとその袂を捉えた。 「あれ、」 「遁げるない、どうだ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
く。 途端に、猿臂がぬッくと出て、腕でむずと鷲掴み、すらりと開けたが片手|業、
疾いこと! ぴっしゃりと閉ると、路地で泣声。 「御免なさい、御免なさい。」 と....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
ように――且つ器械を検べようとする注意だと思ったように、ポカンと渡すと、引取るが
疾いか、ぞろりと紅の褄を絞って小褄をきりきりと引上げた。落葉が舞った。※を踏んで....