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「病児〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

病児の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
世だけは、この姉を信じきってくれている……そう思うと葉子は前にも増した愛着をこの病児にだけは感じないでいられなかった。「貞世がいるばかりで自分は人殺しもしないで....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
原因の解らない高熱に侵された。その病気の事を私は母上に知らせるのに忍びなかった。病児病児で私を暫くも手放そうとはしなかった。お前達の母上からは私の無沙汰を責め....
芽生」より 著者:島崎藤村
、枕元にある金盥《かなだらい》の水までも飲もうとした。私は空の白むのを待兼ねて、病児を家内に託して置いて、車で皆川医学士を迎えに行った。まだ夜は明けなかった。町....
」より 著者:島崎藤村
、ナカナカ外交家だったネ」 「何方が外交家だか知れやしない」とお雪は軽く笑った。病児を慰めようとして、三吉は種々なことを持出した。山に居る頃はお房もよく歌った兎....
」より 著者:徳田秋声
お銀は急いで医者へ連れて行ったが、その晩は徹宵母親が床のうえに坐って、冷えやすい病児の腹を、自分の体で温めていた。笹村はしみ着くようなその泣き声に幾度となく目を....
」より 著者:鷹野つぎ
年を先立たせ、やがて一ヶ月後同じこの病院内に転室した日以来のことである。 私の病児と過した半年間は、母子とも枕があがらなかった。頭上に開いていた北窓には、窓の....
草藪」より 著者:鷹野つぎ
いかもしれぬと思った街路の近くに、また私は来ていた。むしろ私よりも軽いと云われた病児が、先立ったことにも月日に潜む測りえぬ恫喝が迫っていたことが思われた。 私....
電車停留場」より 著者:豊島与志雄
却した。もし本当にチブスだとすれば、他の二人の子供にも感染する恐れがあるし、殊に病児の看護をしてる妻にはその恐れが多いし、そのために貧しい一家の生活が破綻するの....
帰京記」より 著者:豊島与志雄
はかねて懇意な小児科医の宇都野研氏のところへ見せに行き、丁度病室もあいてたので、病児を主に、妻自身と他の二人の子供とはついでに、一家そろって昨日入院してしまった....
貞操問答」より 著者:菊池寛
い寝台の上にグッタリとなっていた。 なるほど、夫人の姿は見えず準之助氏だけが、病児の顔をじっと見詰めながら、枕元の椅子に腰をかけていた。 「お風邪でございます....
梟啼く」より 著者:杉田久女
かず看護した。信は体を方々いたがった。母がま夜中に、このあわれな神経のたかぶった病児の寝付かぬのを静かになでつつ 信や、くるしいかい? と聞くと うん。苦痛....
南国太平記」より 著者:直木三十五
たし、七瀬の髪は乱れて、眼が血走っていた。斉彬は、寛之助の枕頭へ坐って、じっと、病児の顔を眺めた。 寛之助は、眼に見えぬ敵と、何《ど》んなに戦ったのだろう? ....
」より 著者:佐左木俊郎
ども、馬のことが気になってろくろく眠れないというような具合で、伝平は、母親がその病児を養うようにして馬の面倒を見ているのだった。そして、老耄の痩馬は、次第に肥り....
」より 著者:犬田卯
ていた」と白髪の村医は笑った。 甘酸っぱいような水薬をつくって、その飲み方や、病児の扱い方などを細々と説明して、やがて医者は帰って行った。 その頃、ヨシ子は....
西航日録」より 著者:井上円了
気冥濛、勁風高浪、船体の傾動はなはだし。 高浪蹴天船欲沈、長風捲雪昼陰陰、大人皆病児童健、可識無心勝有心。 (高い波は空にとどかんばかり打ちよせて船を沈めようと....