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病兵
「病兵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
病兵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「勲章を貰う話」より 著者:菊池寛
載せた無蓋の馬車が、ワルシャワの大通りに続いていた。その中でも、毒ガスにやられた
病兵がことに多かった。彼らは紫がかった顔色をして、頻《しき》りに咳をした。 ド....
「一兵卒」より 著者:田山花袋
渠はそれを悔いはしなかった。敵の捨てて遁げた汚い洋館の板敷き、八畳くらいの室に、
病兵、負傷兵が十五人、衰頽と不潔と叫喚と重苦しい空気と、それにすさまじい蠅の群集....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
三人の背後に現われ得たのも、道理であろう。下半身不随のこの老史学者は、ちょうど傷
病兵でも使うような、護謨輪で滑かに走る手働四輪車の上に載っているからだった。真斎....
「縮図」より 著者:徳田秋声
深くなって冷気が肌に迫って来た。その辺でもどうかすると、ひどく戦塵に汚れ窶れた傷
病兵の出迎えがあり、乗客の目を傷ましめたが、均平もこの民族の発展的な戦争を考える....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
日清戦争中、山地中将が分捕の高価の毛皮の外套を乃木少将に贈ったら、少将は、傷
病兵にやってしまった。此事を新聞で読んだのが、乃木希典に余のインテレストを持つ様....
「歌声よ、おこれ」より 著者:宮本百合子
戦術を継承して兵站線の尾を蜒々《えんえん》と地上にひっぱり、しかもそれに加えて傷
病兵の一群をまもり、さらに惨苦の行動を行っているのにくらべて、アメリカの近代科学....
「第一回日本アンデパンダン展批評」より 著者:宮本百合子
ったけれど、生活的なおもしろさがありましたし、バリカンで頭を刈っている絵とか、傷
病兵をかいた絵など、技術的には幼稚にちがいなくても、なにか人生の実感に触れたとこ....
「ことの真実」より 著者:宮本百合子
表され、輿論の注目をひいたためであった。現地の軍当局の信じられないほどの無責任、
病兵を餓死にゆだねて追放するおそろしい人命放棄についても記録されはじめた。大岡昇....
「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」より 著者:宮本百合子
バラック病院の大廊下のそばの小さい部屋から放射されはじめた。変化は確実であった。
病兵はタオルとシャボン、ナイフとフォーク、櫛と歯ブラシとを、喜んで使い初めた。六....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
、白い房を残した老人が二つ折れになっているかと思えば、また、逞しい骨格を張った傷
病兵らしいのが、全身を曲った片肢で支えているのもあって、服装の点も区々まちまちで....
「酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
と共に、いま戸倉温泉の陸軍療養所に、からだの回春を待ちわびている三百人ばかりの傷
病兵の慰問を志して、上野駅から朝の準急に乗った。峠のトンネルを抜けて、沓茫とした....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
があたっていて今だに弾痕が残っていて、激戦の日がおもわれるのであった。病院には傷
病兵が沢山おられた。私たちがこうしてお訪ねすると皆が非常によろこんで下すったのは....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
ったような声で、 「もっと、ちゃんとしてくださいね。いままでどこにいたの」 「傷
病兵の慰問に行っていたんです」 マヤ子は意地の悪い上眼づかいで、ジロジロと槇子....
「変身」より 著者:カフカフランツ
くなってしまって、今のところは部屋のなかを横切ってはい歩くためにまるで年老いた傷
病兵のようにとても長い時間がかかるといっても――高いところをはい廻るなどというこ....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
くもくと動いているような気がした。おやッと思って見直すと、それは数十名の白衣の傷
病兵が雪をふんで歩いているのだった。温泉へ療養にきている彼等の、朝の散歩らしかっ....