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病床
「病床〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
病床の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
急に思い立って、喜三郎に蘭袋を迎えにやった。蘭袋はその日も酒気を帯びて、早速彼の
病床を見舞った。「先生、永々の御介抱、甚太夫|辱《かたじけな》く存じ申す。」――....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ちら向きにじっと横になっていた。そのまた枕もとには看護婦が一人、膝の上にひろげた
病床日誌へ近眼の顔をすりつけるように、せっせと万年筆を動かしていた。
看護婦は....
「或る女」より 著者:有島武郎
夕闇《ゆうやみ》にさまよいながら、切れ切れな言葉で葉子と最後の妥協を結ぼうとする
病床の母――その顔は葉子の幻想を断ち切るほどの強さで現われ出た。思い入った決心を....
「或る女」より 著者:有島武郎
わき返った。
四三
その夜おそくまで岡はほんとうに忠実《まめ》やかに貞世の
病床に付き添って世話をしてくれた。口少《くちずく》なにしとやかによく気をつけて、....
「星座」より 著者:有島武郎
よ」
父の手がおぬいの肩でかすかに震えはじめた。
父が首尾よく部屋を一周して
病床に腰を卸《おろ》すと親子三人はひとりでに手を取り合っていた。そして泣いていた....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
は泣いて僕に語った。 その翌日から、妻は年中|堪えに堪えていたヒステリが出て、
病床の人となった。乳飲み児はその母の乳が飲めなくなった。その上、僕ら二人の留守中....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
先生のお手当と、女房のきびしき心づかいにて、まもなくとめた。 それから一ヶ月半
病床生活を送った。 四月二十三日に血痰が出た。それ以来今日まで、血痰が二三度出....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
イイさんですか。それで艇長に、お目にかかりたいのですが……」 「艇長はこのところ
病床についていまして、お目にかかれんです。それで艇長はその代理をわたしに命じまし....
「火星兵団」より 著者:海野十三
そろしい事件が、はっきり織りこまれているように思われるのである。
新田先生は、
病床にねている千蔵のうめき声を聞きながら、ふかい考えにしずんだ。
さっき千蔵が....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
んなことがあっても望を捨てず、ご奉公の折の来るのを待ちます。申しわけありませぬ」
病床から、杉田は川上機関大尉の手をおしいただいた。 「うむ、よくいった。ここは敵....
「空襲警報」より 著者:海野十三
さんも、もう安心ですよ。すっかり防毒室が出来ました」 両親は旗男たちの働きを、
病床から涙をだして喜んだ。旗男の旅行で、遅れていた家庭の防護設備も、兄弟の協力で....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
元で呼びかわすのとは異い、何やらそこに一重隔てがあるようで、果してこちらの意思が
病床の母に通じたか何うかと不安に感じられました。――尤もこれは地上の母に就いて申....
「政治に関する随想」より 著者:伊丹万作
乏しいほんものをえり分けることは決してむずかしいことではない。 現在、私はまだ
病床にしばりつけられている身体であつて、候補者に対する判断も、ラジオをつうじて行....
「橋の上」より 著者:犬田卯
ステッキを食わされなければならなかった。 夏休みがやってきた。 圭太は永らく
病床にあった父を亡くした。 そしてそれは彼にとって、さぶちゃんとも、綾子とも、....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
であった。例えば『浮草』の如き丁度関節炎を憂いて足腰が起たないで臥ていた最中で、
病床に腹這になって病苦と闘いながらポツポツ訳し、三十枚四十枚と訳しおわると直ぐ読....