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「病褥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

病褥の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
た。その頃母は血の道で久しく煩《わずら》って居られ、黒塗的な奥の一間がいつも母の病褥《びょうじょく》となって居た。その次の十畳の間の南隅《みなみすみ》に、二畳の....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
「はい、御当家さまのお蔭で人参を飲みましたせいか、段々宜しくなりまして、此の程|病褥を離れましたと丹治がまいっての話でございますが、母が申しますに、其方のような....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
とに、彼女はそぞろに心の戦きを禁じ得ないものがあった。クルベーの厚い情愛で、長い病褥中行きとどいた看護と金目を惜しまない手当を受けながら、数年前に死んで行った老....
緑衣の女」より 著者:松本泰
を思出して眉を顰《ひそ》めたが、そこへ帰るより他にゆくところはなかった。半歳近く病褥《とこ》に就いたり、起きたりしてうつら/\日を送っているうちに、持合せの金は....
寒中滞岳記」より 著者:野中至
し咽喉《いんこう》腫《は》れ塞《ふさ》がりて、湯水《ゆみず》も通ずること能わず、病褥《びょうじょく》に呻吟《しんぎん》すること旬余日、僅かに手療治《てりょうじ》....
十六、七のころ」より 著者:永井荷風
ることがある。 鶯の声も既に老い、そろそろ桜がさきかけるころ、わたくしはやっと病褥《びょうじょく》を出たが、医者から転地療養の勧告を受け、学年試験もそのまま打....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
も貴方を取殺そうと思ってる処へ、叔母さんにけしかけられたもんですから、むっくりと病褥の上へ起き直り、利かない身体で膝へ手を突いて、此方を睨んだときの顔つきという....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
えまい。しかし、わしは今、心魂に徹して、半生の苦杯をなめ味わっているのだ……この病褥の中で」 「ハハハハハ、つまらんことをいっている。そもそも兄者人は線がほそく....
三国志」より 著者:吉川英治
霊帝は重い病にかかられた。 帝は病の篤きを知られたか、 「何進をよべ」 と、病褥から仰せ出された。 大将軍何進は、すぐ参内した。何進はもと牛や豚を屠殺して....
三国志」より 著者:吉川英治
め入り、大王の一翼となって忠勤を励むでしょう) と、媚を示していた。 曹操は病褥のうちであざ笑って、 「青二才の孫権が、予をして火中の栗を拾わしめようと謀り....
黒田如水」より 著者:吉川英治
どうして伊丹の城中にいたか」 官兵衛は久しい間の謎をいま解きにかかったように、病褥の中にある体の痛みも忘れていった。するとその時襖を開けて、栗山善助が、 「―....
編輯雑感」より 著者:喜田貞吉
らさぬではなかったが、編纂発行の上に最も大事な六月中旬の初めから、荊妻がはからず病褥に横たわったが為に、東京の自宅と京都の寓居との間を数回往復して、遂に原稿の推....