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痘瘡
「痘瘡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
痘瘡の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ようで、実は見かけほど、変わっていない。もっとも顔かたちは、七八年|前《まえ》の
痘瘡《もがさ》が、おれには重く、弟には軽かったので、次郎は、生まれついた眉目《み....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
骨を取り置きて嘗《な》め含むと胃熱を治す、また虎肉はインド人が不可療の難病とする
痘瘡《とうそう》唯一の妙剤だと(ヴィンツェンツォ・マリア『東方遊記《イルヴィアジ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
事を損じ人をして痿黄《いおう》せしむと、果してしからば好色家は避くべき物だ。また
痘瘡に可否の論が支那にある(『本草綱目』五一)。予の幼時和歌山で兎の足を貯え置き....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
矢島氏の女壻たらしむるのは大いなる犠牲であったからである。玄碩の遺した女鉄は重い
痘瘡を患えて、瘢痕満面、人の見るを厭う醜貌であった。 抽斎は中丸の言に動されて....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
猴の旧像の図を出した。第一輯に写真した物は近来ハイカラ式の物だ。猴は安産する上|
痘瘡《とうそう》軽き故、かく産婦が祭る由聞いた。マレーの産婦は猴に触れば額と目が....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
鳴りそう。左の一眼べとりと盲い、右が白眼で、ぐるりと飜った、しかも一面、念入の黒
痘瘡だ。 が、争われないのは、不具者の相格、肩つきばかりは、みじめらしくしょん....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
に、十里四方の人々から重んぜられ恐れられていた。背の低いでっぷりした強健な男で、
痘瘡《とうそう》のある太い赭《あか》ら顔に、小さな鋭い眼が光っていた。昔は色好み....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
える奴《やつ》で、輝いた、有頂天な、幸福な、まるで天使のようだが、みじめな奴さ、
痘瘡面《あばたづら》のたまらない銀行家が昨日その娘に思いをかけたんだ。実に女とい....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
のカケラを拾い上げ、もう一度前へ行って、今度は力任せにぶっ叩いて黒門の上に幾つも
痘瘡が出来た時、ようやく人の出て来る足音がした。 阿Qは慌てて瓦を持ちなおし馬....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
云うものは、暑いにつけ寒いにつけ、旦那様も私もお前の事を忘れた事はありませんよ、
痘瘡はしたなれど、知らぬ田舎へ行って我儘を云って叱られやしないか、又田舎の事だか....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
どうして、まだ屈強な骨ぐみで、お顔は、どちらかといえば角で赭ら顔のほうで、それに
痘瘡の痕がいっぱいござりましてな、右の小鬢に、少々ばかり薄禿が見えまするで」 「....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
のう赤橋。あまり似ておらんの。……母似か、そちは」 「かも知れませぬ」 「幼時、
痘瘡を病んだか」 「はい、母が地蔵菩薩を信仰しておりまするせいで、子が石地蔵に似....