痛ましい[語句情報] »
痛ましい
「痛ましい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
痛ましいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
と定子を懐妊していた時のはげしい悪阻《つわり》の苦痛を思い出した。それはおりから
痛ましい回想だった。……定子……葉子はもうその笞《しもと》には堪えないというよう....
「或る女」より 著者:有島武郎
った。静まりきった夜の空気の中に、時々鼻をかみながらすすり上げすすり上げ泣き伏す
痛ましい声だけが聞こえた。葉子は自分の声につまされてなおさら悲哀から悲哀のどん底....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
でない。大きなことが大きなことでない。それは心一つだ。
何しろお前たちは見るに
痛ましい人生の芽生《めば》えだ。泣くにつけ、笑うにつけ、面白がるにつけ淋しがるに....
「星座」より 著者:有島武郎
。この二三日また身体の具合がよくないそうで」
「まあ……」
おぬいさんの顔には
痛ましいという表情が眼と眉との間にあからさまに現われて、染まりやすい頬がかすかに....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
わけにもゆかないので、これからだんだんに寒空にむかって、お雪の白い柔らかい手先に
痛ましいひびの切れるのをむなしく眺めているよりほかはなかった。 「それでも小僧さ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
胸をしめ上げられる。 こんな事を思うにつけて、君の心の目にはまざまざと難破船の
痛ましい光景が浮かび出る。君はやはり舵座にすわって他の漁夫と同様に握り飯を食って....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
ばならなかった。 キャプテン深谷氏の屍体は、片足を鱶にもぎとられた見るも無残な
痛ましいものであったが、検死を進めるに従って、はからずも頭蓋の一部にビール瓶様の....
「岡本一平論」より 著者:岡本かの子
小さなブロンズの懸ったのを肌へ着けたりして居ました。 氏の無邪気な利己主義が、
痛ましい程愛他的傾向になり初めました。 やがて、氏は大乗仏教をも、味覚しました....
「狂人日記」より 著者:井上紅梅
ているらしい。乃公をやっつけようと思っているらしい。本当に恐ろしいことだ。本当に
痛ましいことだ。 おお解った。これはてっきりあいつ等のお袋が教えたんだ。 ....
「狂女」より 著者:秋田滋
鳥が狂女の敷いていた破れた蒲団の羽毛で巣をつくったのであろう。 僕はその見るも
痛ましい白骨をしまっておくことにした。そして、僕たちの息子の時代には、二度と再び....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
いえ、一方では、あの狂った哀れな父が、二度と再び現われてこないと思うと、不意に、
痛ましい悲しみの湧くのを覚えるのでした。けれども、そこには一つの疑惑があって、果....
「街の探偵」より 著者:海野十三
室に入った。 実験装置がやりかけたままになってそこに転がっているのも、まことに
痛ましいことであった。 『ホスゲン瓦斯は、どこから入ってきたのかね』 『どこから....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
、あるいはヒステリー患者のたぐいであった。みだりに嘲り笑うよりも、むしろ気の毒な
痛ましい人々ではあるまいかと思われた。わたしは更に小使にむかって訊いた。 「あの....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
一度、幻に未生のうない子を、病中のいためる御胸に、抱きしめたまう姿は、見る目にも
痛ましい。その肩にたれつつ、みどり児の頸を蔽う優しき黒髪は、いかなる女子のか、活....
「風の寒い世の中へ」より 著者:小川未明
んなによくできたお人形はないのでしたが、手もとれ、足もこわれて、それは、みるから
痛ましい姿になっていました。 けれど、お嬢さんは、そのお人形に美しい着物をきせ....