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痛切
「痛切〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
痛切の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
吉は薄暗い二等客車の隅に発車の笛を待ちながら、今朝《けさ》よりも一層《いっそう》
痛切に六十何銭かのばら銭《せん》に交《まじ》った一枚の十円札を考えつづけた。
....
「河童」より 著者:芥川竜之介
らばその理由は如何《いかん》?
答 我ら河童はいかなる芸術にも河童を求むること
痛切なればなり。
会長ペック氏はこの時にあたり、我ら十七名の会員にこは心霊学協....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
争の amidst にいるんだ。」
独逸《ドイツ》に対する彼の敵意は勿論僕には
痛切ではなかった。従って僕は彼の言葉に多少の反感の起るのを感じた。同時にまた酔《....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
しい体格も具《そな》えていた。僕はこう言う彼女の姿に美醜や好悪を感ずるよりも妙に
痛切な矛盾を感じた。彼女は実際この部屋の空気と、――殊に鳥籠《とりかご》の中の栗....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
れ》した調子で、微笑しながらこう云った。
「我々は我々自身のあてにならない事を、
痛切に知って置く必要がある。実際それを知っているもののみが、幾分でもあてになるの....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
ないことがあると、何か失望に似たものを感じた。何か失望に似たものを、――それさえ
痛切には感じた訣《わけ》ではない。保吉は現に売店の猫が二三日行くえを晦《くら》ま....
「出帆」より 著者:芥川竜之介
、気がついて見ると、船と波止場との距離が、だいぶん遠くなっている。この時、かなり
痛切に、君が日本を離れるのだという気がした。皆が、成瀬君万歳と言う。君は扇を動か....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
いて見ると、今度こそすべてが画餅《がへい》に帰したと云う、今更らしい絶望の威力を
痛切に感じたからでしょう。しばらくは二人とも唖《おし》のように口を噤《つぐ》んだ....
「或る女」より 著者:有島武郎
ていてはくれなかったのだ。
この景色のどこに自分は身をおく事ができよう。葉子は
痛切に自分が落ち込んで行った深淵《しんえん》の深みを知った。そしてそこにしゃがん....
「想片」より 著者:有島武郎
って互いの論点がますます主要なところからはずれていくのを、少しばかりの議論の末に
痛切に感じたから、私は単に自分の言い足らなかった所を補足するのに止めておこうと思....
「性急な思想」より 著者:石川啄木
の人の疑惑|乃至《ないし》反抗は、同じ疑惑を懐いた何れの国の人よりも深く、強く、
痛切でなければならぬ筈《はず》である。そして、輓近《ばんきん》一部の日本人によっ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
って我々の現代の見解の如何に健全であるか、いかに信頼するに足るかということを一層
痛切に感得することができるであろう。 この研究からまた現代における発達が未曾有....
「戦争中止を望む」より 著者:伊丹万作
を抑制した罰がいかなるものか。それらの教訓こそはこの戦争が日本に与えたあまりにも
痛切な皮肉な贈物というべきであろう。....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
霊的通信は、恐らく彼等にとりて一篇の夢物語に過ぎないであろう。 然り、われ等の
痛切に求むる所は、以上の如き人達ではなく、之に反して神を知り愛と慈悲とに燃え、や....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
ドの上に転がったまま、「暗夜行路」を読みはじめた。主人公の精神的闘争は一々僕には
痛切だった。僕はこの主人公に比べると、どのくらい僕の阿呆だったかを感じ、いつか涙....