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「痛心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

痛心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
法窓夜話」より 著者:穂積陳重
とする目的を有する我帝国に取りて、至大の打撃たるは明白なる所、我当路者は之が為に痛心したること尋常ならざりき。 実に当時の我当局者の苦慮痛心は尋常一様ではな....
世代の価値」より 著者:宮本百合子
のも単一平坦な道を通ることがむずかしくて、ある場合には殆ど耐えがたいような悲傷、痛心を耐え終せて、自分たちの愛を完うせざるを得ないような場合も殖えて来ているので....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
、その一部とて信用されないかもしれない。それほど致命的なこの場の破局だった。杜は痛心を圧えることができないままに、それからズンズン一人で歩きだした。 橋桁を渡....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
じさんの来ることを期待していたのに、それが酬《むく》いられないことによって、この痛心の面《おもて》があり、その一心不乱のために、さしも喧囂を極めたマドロス騒動の....
別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
、またころりと横になりながら、心からそう思って、余りうるさく訊くのも、却って女の痛心に対して察しの無いことだから、さも余処の女のことのように言ってまたしても斯う....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
をはじめとして殆んど全部城を枕に打死して了いました。その時分の不安、焦燥、無念、痛心……今でこそすっかり精神の平静を取り戻し、別にくやしいとも、悲しいとも思わな....
源氏物語」より 著者:紫式部
須磨《すま》の夜の源氏の夢にまざまざとお姿をお現わしになって以来、父帝のことで痛心していた源氏は、帰京ができた今日になってその御菩提《ごぼだい》を早く弔いたい....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
が、それが発揮されなかった諸原因について。自分の手紙につきまとった或る当てのない痛心や卑屈さやについて。ちっとも求められていたものでないそれらのものが、書いた字....
初恋」より 著者:矢崎嵯峨の舎
ず貌を上げてそして姉を見た。 「おお秀坊が!」 第一に姉が叫んだ。 誰しも苦痛心配は厭いであるが楽になッてから後、過ぎ去ッた苦痛を顧みて心に思い出したほど、....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
いた。死骸《しがい》自身も泣いていた。 その医者と牧師と女とは、一言も発せず、痛心のうちにマリユスをながめた。彼はその間にあってひとり門外漢だった。マリユスは....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
の若い娘は少しもその天使のごとき美しさを失わなかったことだけは、真実だった。実に痛心のきわみである。マリユスは心のうちに情熱をいだき、目には暗夜をながめていた。....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ならない。しかし本心は満足しながらも悲しんでいる。そして義務の遂行のうちに、ある痛心の情が交じってくる。 直ちに言を進めるが、一八四八年六月の暴動は特殊の事実....
徳育如何」より 著者:福沢諭吉
たらば、必ず大いに驚駭《きょうがい》して、人倫の道も断絶したる暗黒世界なりとて、痛心することならんといえども、いかんせん、この世態《せいたい》の変は、十五年以来....
十五年」より 著者:山本実彦
の長所を摂取することがいろいろと困難の事情が多いので、ジャーナリズムとしては一番痛心なときだ。始終ビクビクして神経の捕虜となっている編輯者を見るにつけ、これで、....
大岡越前」より 著者:吉川英治
胸にうかべながら、ここ数ヵ月は、令をもって、招きもできない事情であった。かれが、痛心を深めたのは、越前の為というよりは、彼自身のためでもあった。 いまかれの口....