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痞
「痞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
痞の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「根岸お行の松 因果塚の由来」より 著者:三遊亭円朝
は申すことが出来ない、何ういい抜けをして逃《のが》れようかと心配しますれば、胸も
痞《つか》えて一杯でございます。 楼「花魁、こゝへ来なさい、何もそんなにうじ/....
「永日小品」より 著者:夏目漱石
らない。しかし広い割には極めて静かな海である。ただ出る事ができない。右を向いても
痞《つか》えている。左を見ても塞《ふさ》がっている。後をふり返ってもいっぱいであ....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
す》ぎてね。――阿爺《おとっさん》のように年を取ると、どうも硬《こわ》いのは胸に
痞《つか》えていけないよ」 「御茶でも上がったら……注《つ》ぎましょうか」 青....
「明暗」より 著者:夏目漱石
見られる津田から出立しようと試みて、ついに出立し得なかったのも、一つはこれが胸に
痞《つか》えていたからであった。それをいよいよ席を立とうとする間際《まぎわ》にな....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
この間おさんの三馬《さんま》を偸《ぬす》んでこの返報をしてやってから、やっと胸の
痞《つかえ》が下りた。吾輩が最後につまみ出されようとしたときに、この家《うち》の....
「琴のそら音」より 著者:夏目漱石
ちょっと御注意をしたのですが……」 余はようやくほっと息をつく。咽喉《のど》に
痞《つか》えている鉛の丸《たま》が下りたような気持ちがする。 「これは御親切に、....
「一夜」より 著者:夏目漱石
》も見えぬ。五分刈《ごぶがり》は向き直って「あの声は胸がすくよだが、惚れたら胸は
痞《つか》えるだろ。惚れぬ事。惚れぬ事……。どうも脚気らしい」と拇指《おやゆび》....
「大阪夏之陣」より 著者:菊池寛
ろうと云うので、家康に抜露しなかった。所がその夜、井伊|掃部頭の陣中にいた女が、
痞おこり譫言を口走る。「我も一手の大将なり。然るにわが首の何とて、実検に合わざる....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
のお癪《しゃく》から揉《もみ》やわらげて、殿さまの御肝癖も療治し、果は自分の胸の
痞《つかえ》も押さげたという、なかなか小腕のきく男で。 下宿が眼と鼻の間の所為....
「物売りの声」より 著者:寺田寅彦
ら、だんだんに薬の効能書きを歌って行くのである。「そのまた薬の効能は、疝気疝癪胸
痞え」までは覚えているがその先は忘れてしまった。 子供らはこの薬売りの人間を「....
「四十八人目」より 著者:森田草平
なさに、ただもう胸が迫るばかりで、何とも言うことができない。怺えに怺えた涙が胸に
痞えて、 「ひ、ひ、ひ――ッ!」と、これもその場に泣き伏してしまった。 小平太....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
衛、長い籠城だったが、これで曙光が見えてきたの」 「まことに」 正成の胸にも、
痞みあげてくるような何かはあった。が、それは公卿の隆資が手ばなしで歓喜しているよ....