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痰壺
「痰壺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
痰壺の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
や病床日記を調《ととの》えるように頼んだ。興録の持って来た薬びんから薬を半分がた
痰壺《たんつぼ》に捨てた。日本から木村に持って行くように託された品々をトランクか....
「人間失格」より 著者:太宰治
れいに依って、自分が母に連れられて上京の途中の汽車で、おしっこを客車の通路にある
痰壺《たんつぼ》にしてしまった失敗談(しかし、その上京の時に、自分は
痰壺と知らず....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
例の花道のような背の高い卓子の蔭に極く狭い隙間があって、その隅っこに白い瀬戸製の
痰壺が置いてあった。僕がハッとする間に、もうその女の子は
痰壺の上にチョコンと無造....
「蝱の囁き」より 著者:蘭郁二郎
軽く咳込むと、夜の間に溜った執拗い痰を、忙しく舌の先きを動かして、ペッ、ペッ、と
痰壺へ吐落し、プーンと立登って来るフォルマリンの匂いを嗅ぎながら注意深く吐落した....
「子供・子供・子供のモスクワ」より 著者:宮本百合子
。―― 朝八時と十時の間。夜は九時から十一時前後、ホテルの黒猫は廊下のエナメル
痰壺のわきに香箱をつくって種々雑多な色の靴とヤカンの行進を眺めていた。各々の足音....
「東京へ近づく一時間」より 著者:宮本百合子
玉を拾って歩くのをさし図し、 「ホーレ、見な、ここさ落すと取れないよ」床についた
痰壺の穴へ指さして教えている。 一つの駅で、野天プラットフォームの砂利を黒靴で....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の間に交わると、彼女はやがて恐ろしく孤独な心地がした。それらの不幸な人々は、手に
痰壺《たんつぼ》をもって、たがいに様子を窺《うかが》いながら、相手のうちに死期の....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
いかと恐れてでもいるかのように――ひどくくっつき過ぎているのだ。その眼は、三角の
痰壺のような古ぼけた縁反帽の下、頤と咽とを巻いてほとんど膝あたりまで垂れ下ってい....
「昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
りのように咽を悪くし、十分毎にペッペッと痰を吐き散らしていた。が、彼は部下の顔を
痰壺の代りに使うという厄介な病気を持っていた。もっとも、彼が部下の顔へ痰をひっ掛....