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「痴呆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

痴呆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河童」より 著者:芥川竜之介
日ごとにいろいろの河童の訪問を受けました。僕の病はS博士《はかせ》によれば早発性痴呆症《そうはつせいちほうしょう》ということです。しかしあの医者のチャックは(こ....
或る女」より 著者:有島武郎
葉子の心を不安にし、自分というものの居すわり所までぐらつかせた。どうかして倉地を痴呆《ちほう》のようにしてしまいたい。葉子はそれがためにはある限りの手段を取って....
愛撫」より 著者:梶井基次郎
《たよ》りない、哀れな心持のものがあろうか! 空想を失ってしまった詩人、早発性|痴呆《ちほう》に陥った天才にも似ている! この空想はいつも私を悲しくする。その....
冬の日」より 著者:梶井基次郎
の飛んで行った方角には日光に撒かれた虻《あぶ》の光点が忙しく行き交うていた。 「痴呆《ちほう》のような幸福だ」と彼は思った。そしてうつらうつら日溜りに屈《かが》....
老妓抄」より 著者:岡本かの子
に見開いて「ご免なさい」と泣声になって云ったが、柚木はまるで感電者のように、顔を痴呆にして、鈍く蒼《あお》ざめ、眼をもとのように据えたままただ戦慄だけをいよいよ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
いる巴里。鋭くて厳粛で怜悧な文化の果てが、むしろ寂寥を底に持ちつつ取りとめもない痴呆状態で散らばっている巴里。真実の美と嘆きと善良さに心身を徹して行かなければい....
河明り」より 著者:岡本かの子
には堪えられるものではありません。僕は元来そう頭は悪くない積りですが、この時分は痴呆症のようになって、学校も仮及第ばかりしていました」 木下が九つの時に堺屋の....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
奥の帷幕に向けて、仰臥の姿勢にて横たわれり。相貌には、やや悲痛味を帯ぶと思われる痴呆状の弛緩を呈し、現場は鎧扉を閉ざせる薄明の室にして、家人は物音を聴かずと云い....
歯車」より 著者:芥川竜之介
しょう。あれは気違いじゃないのですよ。莫迦になってしまったのですよ」 「早発性|痴呆と云うやつですね。僕はあいつを見る度に気味が悪くってたまりません。あいつはこ....
島木赤彦氏」より 著者:芥川竜之介
)の正月である。僕はその日の夕飯を斎藤さんの御馳走になり、六韜三略の話だの早発性痴呆の話だのをした。御馳走になった場所は外でもない。東京駅前の花月である。それか....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
たいものがあって、おそらく思慮や才智も、充分具えているに違いないが、同時にまた、痴呆めいた狂的なものも閃いているのだった。 そうして、以前はその四人が、同じ室....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
てというものは、血が濁り、筋が緩み、気力が衰えて、如何にも斯うにも成らなかった。痴呆の如くに成るのみで有った。 お鉄の家は代々の目明しで有った。祖父が別して名....
褐色の求道」より 著者:岡本かの子
墻根から色々の花さえちらほら見えた。寒さからのがれた空はたるんで、暖かい光の中に痴呆性の眼の色のようにぼんやりしていた。 仏陀寺の中を探し廻って私は、矢張りあ....
子をつれて」より 著者:葛西善蔵
これほど手入れしたその花の一つも見れずに追い立てられて行く自分の方が一層の惨めな痴呆者であるような気もされた。そして最初に訪ねて来た時分の三百の煮え切らない、変....
和製椿姫」より 著者:大倉燁子
ですから、医者に頼んで神経衰弱という事にしてあるんですよ。まさか、神経麻痺だの、痴呆症だのって発表出来ませんからな。気狂いなら失踪しても云いわけはたちますが、し....