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痴愚
「痴愚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
痴愚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
いる彼は、そのじつ、悪魔のような牧師の舌上におどらされている、あわれなお人よしの
痴愚者なんだと、座間だけはそう信じていたのである。 やがてドドをまじえた一行五....
「狂乱」より 著者:近松秋江
ならぬと思っているのに、もし、自分のこの体たらくを見知っている者があって、自分を
痴愚とも酔狂ともいわば言え、自分ながら感心するほどの真実を傾け尽して女のことを思....
「音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」」より 著者:寺田寅彦
スポーツ風景は国粋主義の紳士淑女を喜ばすものであり、シャトーにおける生活の空虚と
痴愚を露骨に風刺する多数の画面は卑近な民衆イデオロギーに迎合するものであろう。そ....
「大橋房子様へ」より 著者:宮本百合子
いのでしょうか。私は極々人間的なのです、総ての見方が。それ故、自分並全人類の持つ
痴愚や不完全さが、随分のところまで認容します。真個に大切な光りとなるものが消され....
「海辺小曲(一九二三年二月――)」より 著者:宮本百合子
作りなおすまいか。 幸運のアフロディテ 水沫から生れたアフロディテ! 自ら生得の
痴愚にあき 人生の疲れを予感した末世の女人には お身の歓びは 分ち与えられないの....
「死刑の前」より 著者:幸徳秋水
はだしくないだけ、さらに楽かも知れぬ。 これはわたくしの性の獰猛なのによるか。
痴愚なるによるか。自分にはわからぬが、しかし、今のわたくしは、人間の死生、ことに....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
の大河となり、洋々として大地を洗い、その不可抗の威力の前には、現在|汝等を悩ます
痴愚も、不信も、罪悪も、虚偽も皆跡方もなく一掃せられて了うであろう。 問『近代の....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
。四五年来のぐるりを見て強くそう思っている次第です。文学において、人間性の尊重が
痴愚への屈伏となっている所以です。 ――○―― 就眠・起床、サッパリだ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、周囲に見聞きする事柄によって、人生の主要な真実に混淆《こんこう》している虚偽と
痴愚とのきわめて多くの量を、おのれのうちに吸い込むがゆえに、健全なる人たらんと欲....
「漫画と科学」より 著者:寺田寅彦
たものである。 私は鳥羽僧正の戯画を見る時に、そこに描かれた動物の群から人間の
痴愚をさしつけれれる。北斎漫画を見る時に封建時代の社会の不思議な心理を教えられる....
「アインシュタイン」より 著者:寺田寅彦
度は博愛的人道的のものであるらしい。彼の犀利な眼にはおそらく人間のあらゆる偏見や
痴愚が眼につき過ぎて困るだろうという事は想像するに難くない。稀に彼の口から洩れる....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
時世でもあれば、すべての時世の中で最も悪い時世でもあった。叡智の時代でもあれば、
痴愚の時代でもあった。信仰の時期でもあれば、懐疑の時期でもあった。光明の時節でも....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
げて海中に投げ込めり、されど猛獣のごとく走れる船を、錨にて停めんとするはなんらの
痴愚ぞ、錨は海底に達せざるに、錨綱にフッと切れて、船の走る事いよいよ急なり。 ....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
る湿熱環ほどではないが、多分摂氏四十度ぐらいはあろう。そのため、私たちはだんだん
痴愚になってゆくようだ。 実際、今のところは死なないと云うだけだ。脳力、が暑さ....
「宇賀長者物語」より 著者:田中貢太郎
二つあったように思われる。一つは縁切りの神とせられ、一つは縁結びの神とせられて、
痴愚な附近の男女の祈願所となっている。何んでもその社には錆びた二つ三つの鋏を置き....