癒着[語句情報] » 癒着

「癒着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

癒着の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
三人の双生児」より 著者:海野十三
ろしいことを考え出した。それは真一の瘢痕のあるところに、もう一つ別の人間の身体が癒着していたのではなかろうか。いわゆるシャム兄弟と呼ばれるところの、二人の人間の....
蠅男」より 著者:海野十三
にたいへんよく切れる鉞を落としたとしたら、あんな傷が出来やしないかと思う。傷跡は癒着しているが、たいへん手当がよかったと見えて、実に見事に癒っている。一旦切れた....
東京八景」より 著者:太宰治
れたけれども、悪業の深い私は、少しずつ恢復して来た。一箇月たって腹部の傷口だけは癒着した。けれども私は伝染病患者として、世田谷区・経堂の内科病院に移された。Hは....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
で、座蒲団を当てがって、仰向きになっている彼女の創口を覗いて見た。薄紫色に大体は癒着しているように見えながら、探りを入れたら、深く入りそうに思える穴もあって、そ....
道徳の観念」より 著者:戸坂潤
的な夾雑物から自由になっていない。之は倫理学と社会科学とが月足らずの双生児として癒着したようなものだ。夫は即ち、まだ本当に社会科学的な道徳の観念に行き得ないこと....
読書法」より 著者:戸坂潤
が判る。私はルネサンス以来のヒューマニズムとルネサンス以来の唯物論との不可避的な癒着については多大な疑問を持っているので、ヒューマニズムの弱点についてはここから....
金属人間」より 著者:海野十三
土の頭部《とうぶ》をぐるっと一まわりして、三ミリほどの幅《はば》の、手術のあとの癒着《ゆちゃく》見たいなものが見られ、そのところだけ、毛が生えていなかった。 ....
大脳手術」より 著者:海野十三
の配列、太さ、形をとるわけだ。だからあとは両者をぴたりと合わせて電気をかけ、瞬間癒着を行うのだ。残るは皮膚と皮膚の接合部に対する適切なる処理だ。これも済めば、全....
地球要塞」より 著者:海野十三
っていた。 上半身を起そうと思って、床を両手で突っ張ったが、私の肩は、床の上に癒着《ゆちゃく》せられたように動かなかった。 「畜生!」 私は思わずうめいた。....
原爆詩集」より 著者:峠三吉
(なァんだ!)という顔で 柵の中をのぞいてゆく 黒眼鏡をとると瞼がめくれこんで癒着した傷痕のあいだから にじみ出る涙があった あの収容所で、凝りついた血をしめ....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
表して、その中に内臓転錯症のことが記されてあるのだ。つまり胸の剣状突起のところで癒着いている、右側の一人には、心臓は右に、その他ありとあらゆる臓器が、左側のと反....
次郎物語」より 著者:下村湖人
の一つで、それは世間|体や何かのためではない。それが手おくれになると、疵がうまく癒着しない、というのである。 「世間体など、どうでもよいことですよ。外科手術の疵....
勝ずば」より 著者:岡本かの子
、どうもよくならないのです。年が若いだけいけないですね」 政枝の手首の傷が殆ど癒着して、しかし胸の病の熱の方は、日増しに度を増して来た時分、戦争が始まった。日....
日を愛しむ」より 著者:外村繁
ところに径、二・五センチ、深さ、一・五センチばかりの傷口が開いている。手術の傷が癒着しないうちに、放射線をかけたためである。 乳房を切除した左胸部には殆ど傷痕....
澪標」より 著者:外村繁
ると、私の鼻下と顎の半白の髭がすっかり脱毛する。ある朝、目を覚ますと、上下の唇が癒着している。無理に引離すと、鮮血が流れ落ちて、着衣を汚す。既に私の顔の皮膚は黒....