発条[語句情報] » 発条

「発条〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

発条の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
る眼とから遁《のが》れてしまうのだった。 併し藤沢は、抑えている間は縮んでいる発条《ばね》のように、手を放すとすぐに原状《もと》に戻って、まもなくその時の恐怖....
碧眼托鉢」より 著者:太宰治
僕がいま、はっきりさせた半面は、僕の意欲したところのもの。僕みずから動かした僕の発条。これこそ勇気であり、力であると御記憶ありたい。」「なんのことはない、僕は市....
早すぎる埋葬」より 著者:佐々木直次郎
には墓窖の扉と同じ仕組みで、体をちょっと動かしただけでも自由に動くように工夫した発条をつけた。なおこれらのほかに、墓の天井から大きなベルを下げて、その綱が棺の穴....
未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
失敗として、そのまま終らせてはならぬ。失敗はすなわち、かがやかしい成功への一種の発条《はつじょう》であると思い、このたびの失敗に奮起して、次回には、更にりっぱな....
戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
ら真空管にジャイロスコープに、それからその不思議なモートルにクランク・シャフトに発条にリベットに高声器に……」 「いくら数えてもきりがないから、もうよしたらどう....
火薬船」より 著者:海野十三
」 といっているところへ、卓上の電話が、じりじりとなりだした。 警部モロは、発条じかけの人形のように、その受話器にとびついた。 「――なんだ、なんだ。ポーニ....
ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
血がかッとのぼってきた。 「――素晴らしい着想だわ」 夫人は床をコンと蹴ると、発条仕掛の人形のように、石油箱から飛びあがった。そして傍に脱ぎすててあった手術着....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
も、よほど勝《まさ》っている。」 祖父は九十歳の踵《かかと》でくるりと回って、発条《ばね》がとけるような具合に言い出した。 「かくてアルシペよ、夢想に限界《....
人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
・ジェイムズ・スチュワアトは、極めて適切にも、蕃殖力を、可変的な重りを載せられた発条に喩えているが(Polit. Econ. vol. i. b. i. c. ....
肌色の月」より 著者:久生十蘭
いるから、警察と係りあうのはありがたくないが、こんどばかりは、もう黙っていない」発条《ぜんまい》のゆるんだ煖炉棚の時計が、ねぼけたような音で十一時をうった。 ....
人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
な者と同じ立場におかれることになるならば、吾々は果して、人間が、今日公共繁栄の主発条をなしている自己の境遇を改善せんとする活溌な努力を発揮するものと、期待し得る....
「見ること」の意味」より 著者:中井正一
、一つの機《はず》みであり、跳躍の板である。画布は決して二次限の平面ではなくて、発条のようなはたらきである。 しかしこんな芸術気分には現今においては人々は実に....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
をさるるであろう。蓑の白い袖が時として、垂れて錦帳をこぼれなどする。 不思議な発条仕掛があるのではないか、と言う。 実や、文化よりして、慶応の頃まで生存した....
クリティシズムと認識論との関係」より 著者:戸坂潤
定の文化作品を以て自分の自然な母胎とするにも拘らず、それとの間隙と距離と対立とを発条として、この母胎を離れて一つの独自な秩序界を展開する。一つの作品から他の作品....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
……つねに行為の動機のみを重んじて、帰着する結果を想うな。報酬への期待を行為の発条とする人々の一人となるな。……精励して義務をはたせ。好かれ悪しかれ、結果と帰....