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発芽
「発芽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
発芽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
思ったほどに捌《さば》けぬばかりでなく、花圃《はなばたけ》に蒔《ま》かれたものも
発芽や発育が充分でなかった。壮太郎はそれに気を腐らして、この一冬をどうしてお島と....
「美男子と煙草」より 著者:太宰治
まる文学論だか、芸術論だか、恥かしげも無く並べやがって、以《もっ》て新しい必死の
発芽を踏みにじり、しかも、その自分の罪悪に一向お気づきになっておらない様子なんだ....
「蒼穹」より 著者:梶井基次郎
ような夢はもうなかった。ただ溪間にむくむくと茂っている椎《しい》の樹が何回目かの
発芽で黄な粉をまぶしたようになっていた。 そんな風景のうえを遊んでいた私の眼は....
「新生」より 著者:島崎藤村
慰み半分に畑をいじったりするぐらいの仕事しかしないのである。そして僅《わず》かに
発芽する蔬菜《そさい》のたぐいを順次に生に忠実な虫に供養するまでである。勿論《も....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
を試験したが、低温度(たとえば氷室の中)では幾日もの間貯蔵しておいても大してその
発芽能力を失うようなことはないが、一〇〇度においてはわずか数時間でことごとく死滅....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
種であった。 帰って来てまいたこれらのいろいろの種のうちの多くのものは、てんで
発芽もしなかったし、また生えたのでもたいていろくな花はつけず、一年きりで影も形も....
「創生記」より 著者:太宰治
いの、けちな啓蒙、指導の態度、もとより苦しき茨の路、けれども、ここにこそ見るべき
発芽、創生うごめく気配のあること、確信、ゆるがず。 きょうよりのちは堂々と自註....
「映画の世界像」より 著者:寺田寅彦
では、この時間の尺度が自由に変更されうるのは周知のことである。一粒の草花の種子が
発芽してから満開するまでの変化を数分の間に完了させることもできる一方では、また、....
「鑢屑」より 著者:寺田寅彦
れたものだろう、一握りばかりの豌豆がこぼれている。それが適当な湿度と温度に会って
発芽しているのであった。 植物の発育は過去と現在の環境で決定される。しかし未来....
「織田信長」より 著者:坂口安吾
実の大きな実力がないことは分明である。それによって信長は、ともかく天下への自信の
発芽を認めることはできたが、まことの自信を持つことはできなかったのだ。 それか....
「『地球盗難』の作者の言葉」より 著者:海野十三
い者や不勉強な者は、ドンドン取り残されてゆく。 科学小説時代は、今や温床の上に
発芽しようとしている。僕は最近某誌の懸賞に応募した科学小説の選をした。今度が第三....
「特攻隊に捧ぐ」より 著者:坂口安吾
とさらに無益なケチをつけ、悪い方へと解釈したがることは有害だ。美しいものの真実の
発芽は必死にまもり育てねばならぬ。 私は戦争を最も呪う。だが、特攻隊を永遠に讃....
「個性」より 著者:北大路魯山人
木も、同じ寸法の花もない。しかも、その花の一つ一つは、初めはみな同じような種から
発芽したのだ。芽を出したが最後、それらのものは、みなそれぞれ自分自身で育ってゆく....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
えば、日本文学史はまさにこの時代にはじまったのであり、和歌文学はまさにこの時代に
発芽したのである。 とにかく字に書いて個人に送ったり、一人備忘にそなえたりする....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
められてある。そしてその種子は折に触れ、時に乗じて天地からも哺み育てられ、自らも
発芽成長しようと努めている。この原理に立たない大乗仏教はないのであります。それか....