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発車
「発車〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
発車の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
お》へかけて、三泊の修学旅行があった。「午前六時三十分上野停車場前集合、同五十分
発車……」こう云う箇条が、学校から渡す謄写版《とうしゃばん》の刷物《すりもの》に....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
存しなければならぬ。この十円札を保存するためには、――保吉は薄暗い二等客車の隅に
発車の笛を待ちながら、今朝《けさ》よりも一層《いっそう》痛切に六十何銭かのばら銭....
「路上」より 著者:芥川竜之介
渡して、もう電燈のともっている二等待合室へ行って見ると、壁の上の時計の針が、まだ
発車の時刻には大分遠い所を指していた。俊助は立ったまま、ちょいと顎《あご》をその....
「或る女」より 著者:有島武郎
一
新橋《しんばし》を渡る時、
発車を知らせる二番目の鈴《ベル》が、霧とまではいえない九月の朝の、煙《けむ》った....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
老《かいろう》の名や刻みたるべし。 馬車はこの怪しき美人をもって満員となれり。
発車の号令は割るるばかりにしばらく響けり。向者《さき》より待合所の縁に倚《よ》り....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
である。予はいやな気持がしたので、耳も貸さずに待合室へ廻った。明日帰る時の用意に
発車時間を見て置くのと、直江津なる友人へ急用の端書《はがき》を出すためである。 ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
られない。仕方がないから、佐倉へ降りる。 奥深い旅宿の一室を借りて三人は次ぎの
発車まで休息することにした。おはまは二人の前にひれふしてひたすらに詫びる。 「わ....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
で、不思議に、しょんぼりと帰って行くのを見て、おしげなくほろりとして手を組んだ。
発車した。 ――お光は、夜の隙のあいてから、これを着て、嬉しがって戸外へ出たの....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
或曇った冬の日暮である。私は横須賀発上り二等客車の隅に腰を下して、ぼんやり
発車の笛を待っていた。とうに電燈のついた客車の中には、珍らしく私の外に一人も乗客....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
思いなやんでいますうちに―― 汽車は着きました。 目をつむって、耳を圧えて、
発車を待つのが、三分、五分、十分十五分――やや三十分過ぎて、やがて、駅員にその不....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
から、駅の中心からいくらも離れていない。したがつて汽笛の音、蒸気の音、車輪の音、
発車のベルの音その他、すべて鉄道事業の経営に付随する各種の音響は遠慮なく劇場の中....
「暗号数字」より 著者:海野十三
に揺られながら東海道線を下りつつあった。 辛うじて彼は、午後六時きっかり東京駅
発車の岡山行の列車にとびのることが出来た。いま列車は横浜駅のホームを離れ、次の停....
「妖怪談」より 著者:井上円了
で、ただちに停車しました。ところが、どれほどたっても汽車は来ないのでありますから
発車しました。ところがなにごともなかったので、これは狐が汽車の笛をまねしたものだ....
「西航日録」より 著者:井上円了
かんにしようと願い、ふたたび西方への航路万里の途についたのであった。) 新橋
発車 決意一朝辞帝京、学生千百送吾行、鉄車将動煙先発、万歳声埋汽笛声。 (意を決....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
のである。) 明治四十四年四月一日、曇晴。午前八時、多数の知友に送られて新橋を
発車し、十時、郵船会社日光丸に入乗し、正午、横浜を出港す。本船のトン数は五千五百....