発酵[語句情報] »
発酵
「発酵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
発酵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
い熱気に蒸したてられるので、花粉は腐り、葉や幹は朽ち液化していって、当然そこから
発酵してくるものには、小動物や昆虫などの、糞汁の臭いも入り混って、一種堪えがたい....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
えつけられたのだった。すべて僕の注文どおりだった。其の翌日、僕は、六ヶ月かかって
発酵させたC子という豊潤な美酒を、しみじみと味わったことだった。 こうして僕が....
「蠅」より 著者:海野十三
で、ボンヤリと肘をついている。もう二時間あまりもこうやっている。身体がジクジクと
発酵してきそうだ。 白い天井には、黒い蠅が停っている。停っているがすこしも動か....
「ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
レチウスを読んで暗示を得たとは思わない。しかし彼らの考えが識域の下においてまさに
発酵しようとしている際に彼らがもし偶然この詩句に逢着したとしたら、そして彼らの心....
「亮の追憶」より 著者:寺田寅彦
亮はどんなに気らくであったろう。 こういう不安と煩悶をいだきつつ、学校へ出ては
発酵化学の実験をやり、バクテリヤの培養などをやっていた。そして夜は弟と二人で、よ....
「路傍の草」より 著者:寺田寅彦
一 車上 「三上」という言葉がある。枕上鞍上厠上合わせて三上の意だという。「いい考えを
発酵させるに適した三つの環境」を対立させたものとも解釈される。なかなかうまい事を....
「夏目漱石先生の追憶」より 著者:寺田寅彦
が俳人として有名なことを承知していたのと、そのころ自分で俳句に対する興味がだいぶ
発酵しかけていたからである。その時に先生の答えたことの要領が今でもはっきりと印象....
「銀座アルプス」より 著者:寺田寅彦
ばのマーブルのテーブルを前に腰かけてすする熱いコーヒーは、そういう夢幻的の空想を
発酵させるに適したものである。 中学校で教わったナショナルリーダーの「マッチ売....
「俳句の精神」より 著者:寺田寅彦
とでちょっとした休止の気味があって内省と玩味の余裕を与え、次に来るものへの予想を
発酵させるだけの猶予を可能にする。中七は初五で提出された問題の発展であり解答であ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
命を、児戯に等しいものだと見なし得るかのような名づけ方である。 彼の身体も魂も
発酵しきっていた。彼は好奇心と嫌悪《けんお》の情との交り合った気持でそれをながめ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
燃え立った入道雲が、白けた空にかかっている。一陣の風もない。澱《よど》んだ空気が
発酵して、沸きたっているように見える。大地は茫然《ぼうぜん》として沈黙している。....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
、御心配には及びませんよ。おはつさんは釜や飯櫃にくっついた御飯粒や種子飯(パンの
発酵素をつくる)の残りを集めて煮てたべているのですよ』と代って返答したので初めて....
「話の種」より 著者:寺田寅彦
汁は丁度|椰子の汁のような味がするそうな。これを集めて革袋に貯えておくと、一種の
発酵を起していわゆるパルクが出来上がる。一種の腐敗したような臭味があるが、飲んで....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
は駄目です。
静かに落ち著いた奴が長の年月骨を折って、
その間にただ「時」が薬の
発酵を強くするのです。
それに調合が複雑で、
中には不思議な物が這入るのです。
....
「納豆の茶漬け」より 著者:北大路魯山人
。不味いのは、ねっても糸をひかないで、ざくざくとしている。それは納豆として充分に
発酵していない未熟な品である。糸をひかずに豆がざくざくぽくぽくしている。充分にか....