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白百合
「白百合〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
白百合の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ますんです」 その婦人は、もう娘という年ごろではないかもしれぬ。面長で、まさに
白百合とでもいいたい上品な感じは、まったく周囲が周囲だけに際だって目立つのである....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
「いらっしゃいましとも。」 と勢込んで、思入った語気で答えた。 「あの、庭の
白百合はもう咲いたの、」 「…………」 「この間行った時、まだ莟が堅かったから、....
「春昼」より 著者:泉鏡花
、一目見たが、それだけで、遠くの方は、小さくなって、幽になって、唯顔ばかり谷間に
白百合の咲いたよう。 慄然として、遁げもならない処へ、またコンコンと拍子木が鳴....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ていたでしゅが。一波上るわ、足許へ。あれと裳を、脛がよれる、裳が揚る、紅い帆が、
白百合の船にはらんで、青々と引く波に走るのを見ては、何とも、かとも、翁様。」 「....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
序 越中の国|立山なる、石滝の奥深く、黒百合となんいうものありと、語るもおどろおどろしや。姫百合、
白百合こそなつかしけれ、鬼と呼ぶさえ、分けてこの凄じきを、雄々しきは打笑い、さら....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
匹田、絞の切、色の白い細面、目に張のある、眉の優しい、純下町風俗のを、山が育てた
白百合の精のように、袖に包んでいたのは言うまでもない。…… 「……その大島屋の先....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
はねむった子どものあお向いた顔を見おろしました。顔のまわりの白いレースがちょうど
白百合の花びらのようでした。それを見るとおかあさんは天国を胸に抱いてるように思い....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
と思うと、新子にひどくすまない気がした。 二階は、八畳一間。床の間に、清々しい
白百合と、根じめにりんどうの花が生けてあった。花をよく持って来てくれる新子が、自....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
っていて、ひどく厭らしさを感じさせるのであった。 「ご家老様」とお八重は云って、
白百合のように垂れていた頸を、物憂そうに重々しく上げた。 「ご家老様へお尋ねいた....
「光は影を」より 著者:岸田国士
し、そいつは困る、と言いさえしなければ……」 「意味深ですのね」 「いや、信州の
白百合はね、谷間じやなくつて、火山の噴火口に咲いてるんだ。あぶない、あぶない」 ....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
人に結婚を吹聴した。 純粋の日本風でというので結婚式は大神宮の神式で行われた。
白百合の五つ紋の黒紋付できちょうめんに坐ったアンリー。高島田に笄が飴色に冴えてい....
「春」より 著者:岡本かの子
と想って満足して居たのだった。京子の若い日の癖の無い長身、ミルク色にくくれた頤。
白百合のような頬、額。星ばかり映して居る深山の湖のような眼。夏など茶絣の白上布に....
「明暗」より 著者:岡本かの子
けど積るとそれが白いままに光るのよ。」 白いいろ、白いものはただ無限。白ばら、
白百合、白壁、白鳥。紅いものには紅百合、紅ばら、紅珊瑚、紅焔、紅茸、紅|生姜――....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
の人々は謂うまでもなく、見巧者をはじめ、芸人の仲間にも、あわれ梨園の眺め唯一の、
白百合一つ萎んだりと、声を上げて惜しみ悼まれたほどのことである。 深川富岡門前....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
。)とこう言うんだ。少しは分る。私だって少々は噛る。――土耳古の鼻を舐めた奴だ、
白百合|二朶の花筒へ顔を突込んで、仔細なく、跪いた。――ただし、上げましょう拳銃....