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「白紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

白紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
野村はふと思出したようにこう尋ねた。と同時に俊助は、彼の心が何分かの間、ほとんど白紙のごとく空《むな》しかったのに気がついた。彼はちょいと顔をしかめて、冷《つめ....
或る女」より 著者:有島武郎
具が少しばかりあるだけだ。それを叔母は容赦もなくそこまで切り込んで来ているのだ。白紙のようなはかない寂しさと、「裸になるならきれいさっぱり裸になって見せよう」と....
星座」より 著者:有島武郎
明で、美しい光沢を持っていた。骨を入れて蝙蝠傘《こうもりがさ》のような形に作った白紙の笠、これとてもありきたりのものだが、何んとなく清々《すがすが》しくって、注....
親子」より 著者:有島武郎
同様珠算というものを全く知らなかった。彼がやや赤面しながらそこらに散らばっている白紙と鉛筆とを取り上げるのを見た父は、またしても理材にかけての我が子の無能さをさ....
柿色の紙風船」より 著者:海野十三
ズルと出て来たのは小銃の弾丸のような細長い容器に入ったラジウムだった。私はそれを白紙の上に取って、ニヤリとほほえんだ。 「叩き売っても、まず……三万両は確かだろ....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
うと思う。私も病体の時、弟の病は気になる。 ◯荒木夫人、田中君を養子に迎える件を白紙に戻して、胃潰瘍をなおすために、甲州下部温泉へ向う。 十一月十八日 ◯岡東....
春昼」より 著者:泉鏡花
せぬ。 ああ目覚ましいと思う目に、ちらりと見たのみ、呉織文織は、あたかも一枚の白紙に、朦朧と描いた二個のその姿を残して余白を真黄色に塗ったよう。二人の衣服にも....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
る次第であります。 公子 姉があって幸福です。どれ、(取って披く)これは……ただ白紙だね。 博士 は、恐れながら、それぞれの予備の知識がありませんでは、自然のそ....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
めだらけに閉してある。そこを覗いているのだが、枝ごし葉ごしの月が、ぼうとなどった白紙で、木戸の肩に、「貸本」と、かなで染めた、それがほのかに読まれる――紙が樹の....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
々たるその公園の森を負いながら、広前は一面、真空なる太陽に、礫の影一つなく、ただ白紙を敷詰めた光景なのが、日射に、やや黄んで、渺として、どこから散ったか、百日紅....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
。広縁のはずれと覚しき彼方へ、板敷を離るること二尺ばかり、消え残った燈籠のような白紙がふらりと出て、真四角に、燈が歩行き出した。 「はッあ、」 と退って、僧に....
わが妻の記」より 著者:伊丹万作
あてることはほとんど絶望である。探す以上は一応我々の常識と因襲を全部脱ぎ棄てて、白紙にかえつて探さねばならぬが、そんなことは容易にできることではない。次に、彼女....
錦紗」より 著者:犬田卯
は必ず出ると繰りかえし卦のことを言われてすっかり喜んでしまった彼女は、帯の間から白紙につつんだ五十銭玉二つを出して、 「あの、いくらですぺね。」 「あ、それは、....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
およそ、妙なるものごしとは、この時言うべき詞であった。 「は、」 と載せたまま白紙を。 「お持ちなさいまし。」 あなたの手で、スッと微かな、……二つに折れた....
妖怪玄談」より 著者:井上円了
取り、麻糸を左によりたる紐にて、右三本の竹を七巻きに結びて一束となし、さらに他の白紙三片を取りて、これに狐、狸、天狗の三字を別々に記し、まるめて一つずつその一束....