白茶[語句情報] »
白茶
「白茶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
白茶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春」より 著者:芥川竜之介
を感じた。それはどこかの庭を描《えが》いた六号ばかりの小品《しょうひん》だった。
白茶《しらちゃ》けた苔《こけ》に掩《おお》われた木々と木末《こずえ》に咲いた藤の....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
》は高だかと曇天に聳えている。そのまた断崖のてっぺんは草とも木とも見当のつかぬ、
白茶《しらちゃ》けた緑を煙らせている。保吉はこの断崖の下をぼんやり一人《ひとり》....
「老年」より 著者:芥川竜之介
こがいまき》をひっかけた後姿が見えるばかりである。
女の姿はどこにもない。紺と
白茶と格子になった炬燵蒲団の上には、端唄《はうた》本が二三冊ひろげられて頸に鈴を....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
所だけは、こぼれ種から生えた細い茎が青い色を見せていた。跡は小屋も畑も霜のために
白茶けた鈍い狐色《きつねいろ》だった。仁右衛門の淋しい小屋からはそれでもやがて白....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
税の方へ挨拶して、微笑みながら、濃い茶に鶴の羽小紋の紋着二枚|袷、藍気鼠の半襟、
白茶地に翁格子の博多の丸帯、古代模様空色|縮緬の長襦袢、慎ましやかに、酒井に引添....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
を惜しげもなく費やした。王みずから茶の二十四種についての論を書いて、そのうち、「
白茶」を最も珍しい良質のものであるといって重んじている。 宋人の茶に対する理想....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
子のものに見えるのだった。煉瓦の色もそれほど赤過ぎることはなく、むしろその表面が
白茶けて見えるのであった。何か灰のようなものが附着しているようにも思われる。煉瓦....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
を廂下りに、洋杖も持たず腕を組んだ、背広でオオバアコオトというのが、色がまた妙に
白茶けて、うそ寂しい。瘠せて肩の立った中脊でね。これが地蔵様の前へ来て、すっくり....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
いたのは、藤の房の丈長く末濃に靡いた装である。 文金の高髷ふっくりした前髪で、
白茶地に秋の野を織出した繻珍の丸帯、薄手にしめた帯腰|柔に、膝を入口に支いて会釈....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
と抜けて、早や、しとやかに前なる椅子に衣摺のしっとりする音。 と見ると、藤紫に
白茶の帯して、白綾の衣紋を襲ねた、黒髪の艶かなるに、鼈甲の中指ばかり、ずぶりと通....
「露肆」より 著者:泉鏡花
路の電車が風を立てつつ、颯と引攫って、チリチリと紫に光って消える。 とどの顔も
白茶けた、影の薄い、衣服前垂の汚目ばかり火影に目立って、煤びた羅漢の、トボンとし....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
参拝を済ませてから、直ちに目的の銀杏の樹に近寄りますと、早くもそれと気づいたか、
白茶色の衣裳をつけた一人の妖精が木蔭から歩み出で、私達に近づきました。身の丈は七....
「人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
沼のような所へ来ました。そこには脂ぶとりにふとった水へびが、くねくねといやらしい
白茶けた腹をみせていました。この沼のまんなかに、難船した人たちの白骨でできた家が....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
来ずに居る二人の日本人の前で、夫人は軽い座興の復讐のような笑い声を立てた。いつか
白茶地に銀朱の色のはいった上着を羽織って居た夫人は今までよりもずっと上品に見えた....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、膝掛を取って外すと、小褄も乱さず身を軽く、ひらりと下に下り立ったが。 紺地に
白茶で矢筈の細い、お召縮緬の一枚小袖。羽織なし、着流ですらりとした中肉中脊。紫地....