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皆済
「皆済〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
皆済の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一円本流行の害毒と其裏面談」より 著者:宮武外骨
予想外の窮状に陥ったのである、其後甲は堅い川石の老舗たる教科書屋だけに漸次月賦で
皆済したとか聴いたが、乙はそれが致命傷となって、大阪の某や東京の某が救済に飛込ん....
「文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
をこしらえたり、馬鈴薯《ばれいしょ》を食ったりして、何年かの後ようやく負債だけは
皆済《かいさい》したが、同時に下女から発達した奥様のように、妙な顔と、変な手と、....
「道草」より 著者:夏目漱石
が順々にあらわれて来た。その帳面のしまいには、右本日|受取《うけとり》右月賦金は
皆済相成候事《かいざいあいなりそうろうこと》と島田の手蹟で書いて黒い判がべたりと....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
よいよ巧妙なる詐偽に取りかかるのだぜ。よく聞きたまえ月十円ずつで六百円なら何年で
皆済《かいさい》になると思う、寒月君」
「無論五年でしょう」
「無論五年。で五年....
「少年時代」より 著者:幸田露伴
き出て手捷くやらないでは学校へ往く間に合うようには出来ないのみならず、この事が悉
皆済んで仕舞わないうちは誰も朝飯を食べることは出来ないのでした。斯のように神仏を....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
蔵に言いつけて、別の箱の紐を解かせた。その中には、遠く慶長享保年代からの御年貢|
皆済目録があり、代々持ち伝えても破損と散乱との憂いがあるから、後の子孫のために一....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
手造りにして来たものであった。 青山氏系図、木曾谷中御免荷物材木通用帳、御年貢
皆済目録、馬籠宿駅印鑑、田畑家屋敷|反別帳、その他、青山の家に伝わる古い書類から....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
場の事だし、済まぬ――済まぬと思いながら――、実は先月はちっと当てもあったので、
皆済してから潔く告白しようと――」 「ばかを言いたまえ。潔く告白しようと思った者....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
めん》シテ済マシテヤッタガ、ソノ後モ五両ニ壱分ノ利ヲ七十両借リテ女郎ヲ受ケタガ、
皆済目録トカヲ代リニヤッタトテ、用人ヤ知行ノ者ガ困ッテイル故ニ、又オレニ頼ンダカ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
滞さしておくことは彼にはできなかった。楽しく未来にはいってゆく前に過去の負いめを
皆済ましたいと願った。
たといテナルディエは悪漢であろうとも、そのためにポンメ....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
と、卒然と三右衛門は云った。「百両のお金がございましたらせめて当座の借金だけでも
皆済することが出来ますのになあ」 「なに?」と初めて紋太郎は用人の方へ顔を向けた....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
は望めないまでも、多少なりとも景気が回復すれば、年賦にしてもらって十ヵ年もすれば
皆済しうるであろう。 儀作をはじめ、これが一般村民の、結局の到達点だった。……....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
してくれた教師達には、皆相当の物品あるいは金を記念の証として送り、それらの用事を
皆済ましてちょうど午後四時|過に、私が属して居るジェ・ターサンの大本堂に参詣して....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
せていられなくなって、フレンチの方で目をそらした。 短い沈黙を経過する。儀式は
皆済む。もう刑の執行より外は残っていない。 死である。 この刹那には、この場....
「熊」より 著者:神西清
業銀行へ利子を払いこむ日になっとりますので、ひとつ奥さん、その金を今日のうちに御
皆済ねがいたいので。 ポポー※ 千二百……。でも、どういうわけで宅は、そのお金を....