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「盆地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

盆地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
の頂きへ来た時、嶮《けわ》しい岩むらの上へ登って、住み慣れた部落の横わっている、盆地の方を眺めて見た。が、彼の眼の下には、ただうす白い霧の海が、それらしい平地を....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
れた動物区をいとなんでいる、いわゆる察緬小地区《リーミエン・サフプロヴィンス》の盆地だ。 折竹は、アメリカ地理学協会の依頼で探検には加わらず、もっぱらここで採....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
一が意識を恢復して来ると、天地は薔薇色に明け放たれていて、谷窪の万象は生々の気を盆地一ぱいに薫らしている。輝く蒼空をいま漉き出すように頭上の薄膜の雲は見る見る剥....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
多いのは北|多摩郡の武蔵野町から杉並区の荻窪、阿佐ヶ谷のあたりであるらしい。甲信盆地で発生した雷雲が武蔵野の空を通過して、房総の沖へ流れ去る。その通路があたかも....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
意味な銃口をむけている。やがて、顎でぐいぐい引かれて森をでると、したは、広漠たる盆地になっている。草|葺きが、固まっているなかに、倉庫体のものさえある。 「ここ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
を踏み踏み黙々と発っていったのである。やがて、十日ばかり経つと連嶺が切れ、一行は盆地のような氷原のなかに出た。と、朝餌をやろうとして檻の戸をあけたおのぶサンの手....
五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
だ。寒いの寒くないの、夏でも寒そうなところだもの、とてもやり切れぬ。見ると米沢の盆地が一面に見渡せる。遙か遙か先に山のかげに平らなところが見える。地図のようだ。....
霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
セラネ山頂にあるアクチニオ宮殿の廃墟《はいきょ》であった。そこには山を切り開いて盆地《ぼんち》が作られ、そこに巨大なる大理石材《だいりせきざい》を使って建てた大....
崩れる鬼影」より 著者:海野十三
部は不安に閃く眼を一同の方に向けました。 「いいえ、ありませんです。ここはずッと盆地のように平になっていて、青い草が生えていたばかりですよ」 「ほほう、すると何....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
っけが、それなんぞも焼けていたんでございましてね。 山坂を踏越えて、少々|平な盆地になった、その温泉場へ入りますと、火沙汰はまた格別、……酷いもので、村はずれ....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
がついて、山あいの細長い耕地を流れ、それがさらにS川に合流しようという地点……M盆地の最も肥沃と称せられる一角に位置する約百二十戸ばかりの部落の、いわばこの地方....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
む。 かなり高く登った。振向いて見ると、富士はいつの間にか姿を出している。甲府盆地で見た時とは違って雄大の感がある。麓の方一条の白い河原は、富士川で、淡く煙り....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
中の岳 南岳より北の方へ大畝りに畝って行く事半里で、連嶺第二の低地、その先きは盆地で沢山の残雪、雪解けの水も流れている。水を一掬び勢をつけて、難なく三千三十米....
可愛い山」より 著者:石川欣一
りを見ていた。 青木湖を離れると佐野坂、左は白樺の林、右手は急に傾斜して小さな盆地をなしている。佐野坂は農具川と姫川との分水嶺である。この盆地に湛える水は、即....
金山揷話」より 著者:大鹿卓
うから」 土田が硝子窓の曇りを拭うのにさそわれて、私も額を寄せて覗いたが、低い盆地をへだてた彼方の尾根は、濛々としらみわたって降る雪にとざされ、茫と影のように....