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盛る
「盛る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
盛るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
郎と松吉にささやいて、異人と二人の男とのあとを追ってゆくと、廓内はいろいろ人の出
盛る時刻となって、ややもすると其の混雑のなかで相手を見うしないそうになったが、丈....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
う差別もない。大きい子は小さい子の世話をする。鍋に近い櫃に近い者が、汁を盛り飯を
盛る。自然で自由だともいえる。妻は左右のだれかれの世話をやきながらも、先刻動揺し....
「食魔」より 著者:岡本かの子
ルを抜け横町が尽きて、やや広い通りに折れ曲るまでの間は自分の数奇の生立ちや、燃え
盛る野心や、ままならぬ浮世や、癪に触る現在の境遇をしばし忘れて、靉靆とした気持に....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
かの冷奴なるものは夏の食い物の大関である。奴豆腐を冷たい水にひたして、どんぶりに
盛る。氷のぶっ掻きでも入れれば猶さら贅沢である。別に一種の薬味として青紫蘇か茗荷....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
途に藤蔓のまとった古木があって、その上に四つの蜂の巣がある。その大きさは五|石を
盛る瓶の如くで、これに蔵する蜂蜜はさぞやと察せられたが、何分にも嶮峻の所にあるの....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
爪に撃ち殺されたのであった。 その後、張の家は火災に逢って全焼したが、その燃え
盛る火焔のなかから、一羽の鷹の飛び去るのを見た者があるという。 無頭鬼 ....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
―十一月初旬で――松蕈はもとより、しめじの類にも時節はちと寒過ぎる。……そこへ出
盛る蕈らしいから、霜を越すという意味か、それともこの蕈が生えると霜が降る……霜を....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
名高い、二七の不動尊の縁日で、月六斎。かしらの二日は大粒の雨が、ちょうど夜店の出
盛る頃に、ぱらぱら生暖い風に吹きつけたために――その癖すぐに晴れたけれども――丸....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
すから、老年はなお烈しいかも知れません。 分けてこの二三日は、黒焼屋の蛇が売れ
盛るって言います……誓文払で、大阪中の呉服屋が、年に一度の大見切売をしますんでね....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
実に不思議千万な動作を演ずる事がある。それなんだよ支倉君、そこに奇想天外な趣向を
盛る事が出来れば、或は推摩居士がいきなり逆立ちして、あの孔雀の趾跡を残しながら、....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
は是非一度拝見いたしたい」 「承知いたした」 播磨は快く承知して、今夜の料理を
盛る器の中に彼の高麗皿十枚を加えろと十太夫にいい付けたのである。お菊もお仙も虫干....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
畏れ多く相すまぬ次第ではございますが、はからずも、その間、二十年の研究をこの絵に
盛ることができましたので、私といたしましては、相すまぬながら、長く宮中にお残しい....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
出稼ぎの売色に出る事。中にも船で漂うのは、あわれに悲く、浅ましい……身の丈夫で売
盛るものにはない、弱い女が流される。(姉めも、病身じゃによって、)と蜘蛛の巣だら....
「当今の劇壇をこのままに」より 著者:岡本綺堂
直にまた持って来る事も出来ないでしょうし、文士劇でも勿論あるまい。 医師が薬を
盛る時に、甚しく苦い薬であると、患者は「これは非常によく利く」といわれても、飲む....
「俗臭」より 著者:織田作之助
である。 半月も経った頃だったろうか、確か上塩町の一六の夜店の時だった。人の出
盛る頃に運悪い夕立が来て、売物の扇子を濡らしてはと慌てゝしまいこみ、大風呂敷を背....