盤面[語句情報] »
盤面
「盤面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
盤面の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
段と上達致したであろうな。」と、念を押すように仰有《おっしゃ》ると、若殿様は静に
盤面《ばんめん》を御眺めになったまま、
「いや笙はもう一生、吹かない事に致しまし....
「二老人」より 著者:国木田独歩
」と徳さんの武もこのほかに挨拶のしようがない。ただあきれ返って、しょうことなしに
盤面を見ていた。 「徳さんは碁が打てたかね。」と叔父は打ちながら問うた。 「まる....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
、時刻は夜半の零時か零時半頃であったろう、吾輩はなんでも香車か桂馬をばパチリッと
盤面に打下《うちおろ》そうと手を伸ばした途端である。不意に何か吾輩の食指《ひとさ....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
し世の寛仁大度な行跡を思い起しながら、永らえて恥を得た身を悔いた。正直な丹後は、
盤面に向って追従《ついしょう》負けをするような卑劣な心は、毛頭持っていなかった。....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
――九――それから最後には、長針を六時に……」と滝人が、針をぴたりと垂直に据え、
盤面から指を引いたときだった。そのとき不思議な事には、あれほど逐《お》いきれなか....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
を握った。車は雪明りの人跡杜絶えた街路を矢のように走っていった。ソッと夜光時計の
盤面を見ると、ウラニウム針はピタリと正三時を指していた。 僕は、横に並んでクッ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、具体的な明瞭な形で頭の中へ泛べる場合があるのだ。例えば数字を云う場合に、時計の
盤面が現われることなど一例だが……いまレヴェズの談話の中に、それにもました、強烈....
「青服の男」より 著者:甲賀三郎
パチリ。 信造の打った所は急所らしかった。 連珠屋はうむと唸って、じっと
盤面を見つめたが、パチリと白を下した。 パチリ、二つ目の黒石で、見事に四々が出....
「空襲警報」より 著者:海野十三
。膝の上にのっていた将棋盤も、ポーンと宙にはねあがった。いまや王手飛車とりの角を
盤面に打ちこもうとしたエビス顔の辻村氏の頭の上に、将棋の駒がバラバラと降ってきた....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
のか考えはじめたのだが、ふと思いついたのは、三時も五時四十五分も、それぞれ時計の
盤面では、直角をなしていてしかもそれが、正午の十二時を軸に廻転しているという事だ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
だんだん暖かくなろうよ」 「しかし随分寒うござるな」 侍客はこういって、じっと
盤面を睨んでいたが、「きちがい雪の寒いことわ」 「……雪の夜半、雪の夜半……」あ....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
コックリ居眠りしているのである。 だいたい碁打というものは相手の手番のときでも
盤面を見つめて顔をうつ向けにしている。呉清源は特に片手もしくは両手をタタミについ....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
あった。この手は将棋の定跡というオルソドックスに対する坂田の挑戦であった。将棋の
盤面は八十一の桝という限界を持っているが、しかし、一歩の動かし方の違いは無数の変....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
おもて門の潜戸を勇んで開けた。不意に面とむかった日本の道路の地面が加奈子の永年踏み馴れた西洋道路の石の碁
盤面の継ぎ目のあるのとは違った、いかにも日本の東京の山の手の地面らしく、欠けた小....
「四つの都」より 著者:織田作之助
事はあるまい」 にや/\して、煙草を吹かしている。 庄平、暫らく盤にかじりついて
盤面を凝視しているが、やがて顔を上げて、 庄平「しのぎがありません、これ迄です」....