目八分[語句情報] »
目八分
「目八分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
目八分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
餐の中でも最も苦しい何分かだった。彼女は怯《お》ず怯《お》ず椅子《いす》を離れ、
目八分《めはちぶん》に杯をさし上げたまま、いつか背骨《せぼね》さえ震え出したのを....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
と三人とも恐ろしさに顔の色を変えてしまった。殴りつけられる時するように腕をまげて
目八分の所にやって、逃げ出す事もし得ないでいた。
「童子連《わらしづれ》は何条《....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
外国人は髯をもじゃもじゃと破顔して、ちょうど食後の林檎を剥きかけていた処、小刀を
目八分に取って、皮をひょいと雷干に、菓物を差上げて何か口早に云うと、青年が振返っ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
「今夜ははあおまんまがうめえぞ」 と言って、飯茶わんをちょっと押しいただくように
目八分に持ち上げるのを見る時なぞは、君はなんと言っても心から幸福を感ぜずにはいら....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
こんなことを考えているところへ、扉をコツコツと叩いて、一人の小坊主が、お盆を
目八分に捧げて突然入って来たものですから、柳田平治も多少驚きました。
平治が多....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、恭《うやうや》しく座を立って、ムク犬の前へ自身に持って来ました。 そのお椀を
目八分に捧げて、推しいただいて持って来る有様というものが馬鹿丁寧で、見ていられる....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
》をかぶって、お盆の上へ蕎麦《そば》を一杯|恭《うやうや》しく盛り上げ、そいつを
目八分に捧げて、その叔父さんかなにかのところへ出かけて、まじめくさって、門口に突....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
名、それに随従する無頼漢風のが数名。先頭に立った一人が、恭《うやうや》しく三宝を
目八分に捧げて、三宝の上には何物をか載せて、その上を黄色のふくさと覚しいので蔽《....
「千世子」より 著者:宮本百合子
と同じ様に西洋間で製図をして居たけれ共お茶時に紅茶とお菓子を銀の盆にのせてわざと
目八分にささげて入って来るおどけた姿、子供の様に他愛もない事に大声で笑う事、むず....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
ながら睨んだ。 そう茅野雄にたしなめられて、かつは鋭く睨められたが、根が浮世を
目八分に見ている、身分不詳の弦四郎には、堪えるところが少なかったらしい。 例に....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
を貰っていた。そして何かの席で祝詞のようなものを読んだことが一度あったが、奉書を
目八分にささげ持って、さすがに士族らしい位があった。どうも私の家とは仕付けが違う....
「魔像」より 著者:林不忘
、やがて、しいッ、しッ! と警蹕《けいひつ》を掛けながら、二人のお小姓が御用箱を
目八分に捧げて先に立つ。その後から、第一番に松平|越中守《えっちゅうのかみ》、久....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
て、盃を持つ格好に、のう。」 人に口は利かせない。被布から皺びた腕を伸ばして、
目八分に、猪口をあげる指形で、 「何とかいうたに、それ、それ、乾盃、あれに限るぞ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
顔をして蹤いて出て、 「ええ、こちらが十二畳でございます。」と、上座の私たちを、
目八分に透かすと、 「只今、ここに御酒をめしあがっていらっしゃるのが北原白秋先生....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
る代りに少しも危くない。下から遥に見上げた大岩の下を向うに廻ると、谷が右に折れて
目八分の高さに雪渓の端が顕れた、其処には全石を底とした六尺許りの滝があって、雪渓....