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目立つ
「目立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
目立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
、まばらにさし代えた屋根板と、めっきり延びた垣添《かきぞ》いの桐《きり》の木とが
目立つばかりだった。砂きしみのする格子戸《こうしど》をあけて、帯前を整えながら出....
「或る女」より 著者:有島武郎
あった。
とにかく二月にはいってから倉地の様子が少しずつすさんで来たらしいのが
目立つようになった。酒の量も著しく増して来た。正井がかみつくようにどなられている....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ような笑方。文学士と肩書の名刺と共に、新いだけに美しい若々しい髯を押揉んだ。ちと
目立つばかり口が大いのに、似合わず声の優しい男で。気焔を吐くのが愚痴のように聞き....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
礁の地理的分布の跡から見ても、地球上の気温並びに太陽の輻射は当時と今とでそれほど
目立つように変っていないということが証明される。それで太陽の収縮に際して生ずる熱....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
高くあらわれている。頭髪は雀の巣のようにくしゃくしゃとなり、その中に白毛がかなり
目立つようになった。ミミはベラン氏をおかしいほど大切にしているが、氏の方は、それ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
渋く、そして際立って、ぱっと目についた。 髪の艶も、色の白さも、そのために一際
目立つ、――糸織か、一楽らしいくすんだ中に、晃々と冴えがある、きっぱりした地の藍....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
繻子の袴の襞※とるよりも――とさえいうのである。いわんや……で、綾の見事さはなお
目立つが、さながら紋緞子の野袴である。とはいえ、人品にはよく似合った。 この人....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
…おのれら!…… とまた鳴いた。その体は……薄汚れた青竹の太杖を突いて、破目の
目立つ、蒼黒い道服を着に及んで、丈高う跳ばって、天上から瞰下しながら、ひしゃげた....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
映りませぬが、私にはその外にまだいろいろの光景が見えるのでございます。就中一|番
目立つのは肉体の外に霊魂――つまりあなた方の仰っしゃる幽体が見えますことで……。....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
その昔は、聞えた刀鍛冶も住みました。今も鍛冶屋が軒を並べて、その中に、柳とともに
目立つのは旅館であります。 が、もう目貫の町は過ぎた、次第に場末、町端れの――....
「京のその頃」より 著者:上村松園
物にしても何段にも何段にも区別があった。 総じて京風というと襟足の美しさが一際
目立つもので、生え際の長い、白い頸筋に黒々とした髪の風情は、特に美しい人のために....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
たりしてあぶないなどといろいろそのお医者さんは注意してくれた。日本服を着てゆくと
目立つといっておどかされたのであったが、上海の街を歩いてみると、日本服の娘さんや....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
通るように色の白い二の腕にかけて、その手に日傘をさした下町の女風、服装より容色の
目立つのが一人、馬車新道へ入って来たことがあろう、それがお夏であった。 お夏は....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
甘鯛、いとより鯛、魴※の濡れて艶々したのに、青い魚が入交って、鱚も飴色が黄に
目立つ。 大釜に湯気を濛々と、狭い巷に漲らせて、逞しい漢が向顱巻で踏はだかり、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
遥に梟の目のごとき洞穴の出口見えぬ。 この洞穴は比企ヶ谷の森の中にあり。さして
目立つほどのものにあらねば、誰も這入って見た者無し。 下枝は穴を這出でて始めて....