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「目蓋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

目蓋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
将軍」より 著者:芥川竜之介
した。すると木の上の中隊長が、――」 「何、木の上の中隊長?」 参謀はちょいと目蓋《まぶた》を挙げた。 「はい。中隊長は展望《てんぼう》のため、木の上に登って....
玩具」より 著者:太宰治
スのようなものでもかかったのかと思い、それをとりはずそうとして、なんどもなんども目蓋《まぶた》をつまんだ。私は誰かのふところの中にいて、囲炉裏《いろり》の焔を眺....
藁草履」より 著者:島崎藤村
残酷な一生の記憶《おもいで》は蛇のように蘇生《いきかえ》りました。瞑《つぶ》った目蓋《まぶた》からは、熱い涙が絶間《とめど》もなく流出《ながれだ》して、頬を伝っ....
足迹」より 著者:徳田秋声
袋、袂の中から出すと、それを棚の上において、不安らしくお庄の顔を見た。お庄はまだ目蓋の脹れぼったいような顔をして、寝道具をしまった迹を掃いていた。お鳥は急いで襷....
新樹の言葉」より 著者:太宰治
していたので、僕は、のんきでしたよ。僕さえ丈夫で生きていたら。」 ふと、私は、目蓋の熱いのを意識した。こんなに陰で私を待っていた人もあったのだ。生きていて、よ....
惨事のあと」より 著者:素木しづ
人位はいるものであるが、万吉はその美男な一人であった。色の白い鼻筋の通った、一重目蓋の男である、彼は宿の女将と懇意になると、よく様々な世間話をした末が、この界隈....
道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
に剥がれ落ちて、おおどかな梵音のひびく限りは、谷底に寝ほうけた蝦蟇まで、薄やにの目蓋をあけながら仏願に喰い入って来ようわ。久遠というえらそうな呪いも、二十年しか....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
これを見ると、さては計略が露顕したかと思わず胸を躍らせました。が、妙子は相変らず目蓋一つ動かさず、嘲笑うように答えるのです。 「お前も死に時が近づいたな。おれの....
入院患者」より 著者:ドイルアーサー・コナン
が湧いて来たらしいことを見てとった。彼の顔の表情は少しも変りはしなかったが、彼の目蓋は重く彼の上に垂れさがり、彼の唇からは、あたかもその医者の話す一つ一つの珍妙....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
た目を開ける。その目は外に向けられずに、ひたすら心の奥底を見透しでもするように、目蓋の下で静かに廻転している。「少年時に夢みた自由と法悦――その宝器の隠くされた....
」より 著者:竹久夢二
たずねました。 「ええお月様は小羊でも山の兎でも寝しておやんなさるよ」 幹子の目蓋は、もう開けられないほど重くなって来ました。けれどお月様は、やっぱり窓からお....
ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
のこる片手はあいつの火照った肩を抱きしめていた……そんな光景が、追っても追っても目蓋を去らなかった。 因果な女はとうとう泣きだして、ああ今この時こそあの手のひ....
ねむい」より 著者:神西清
リカはブラッシをとり落とすが、すぐさま頭を振り、眼をむきだして、そのへんのものが目蓋のなかで、伸びたり動いたりしないように、懸命にじっと見つめる。 「ワーリカ、....
はつ恋」より 著者:神西清
で、一生この部屋から出て行きたくない、この場から動きたくないと思った。 彼女の目蓋がそっと上がって、またもやその明るい眼がわたしの前に優しく輝き出したかと思う....
春泥」より 著者:久保田万太郎
。」 すぐに言葉を継いで半ば自分にいうようにかれはいった。――と一しょにかれは目蓋のうらの熱くなるのを感じた。 「おい、つけてくれ、あとを……」 ……遠く霜....