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直視
「直視〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
直視の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「牛肉と馬鈴薯」より 著者:国木田独歩
は恋の相手の亡《なく》なったが為の悲痛である。死ちょう冷刻《れいこく》なる事実を
直視することは出来なかった。即ち恋ほど人心を支配するものはない、その恋よりも更に....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
》ならば、眼はもはや、平行線の二元性を停滞なく追求することができないで、正面より
直視する限りは、系統を異《こと》にする二様の平行線の交点のみを注視するようになる....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
タリと血が蜿くってゆく影が印されていった。検事も熊城も、とうていこの凄惨な光景を
直視することは出来なかった。
「血液には光はない」と法水は死体から手を離すと、憮....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
、もしや姉が……?。」 「そうです。姉さんの告白書です。」法水はさすが相手の顔を
直視するに忍びなかったが、イリヤはそれを聴くと、全身の弾力を一時に失って椅子の中....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ればなりません。茨を背中に背負うことによって、一本の足で歩くことによって、日輪を
直視することによって、十歩行っては八歩かえり、二十歩歩いては十九歩かえる、こうい....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
ぴりぴりさせた。そして誰も、その男の方をちょっと振りむいただけで、幾秒間の間でも
直視しているものはなかった。 幾度懲罰を食っても この懲罰で思い出すが、囚人....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
にはない。単に苦しいとか安易なとかいうことよりいわば、運命の拙い人、ことに運命を
直視して生きるほど生活に生真面目なるものにとっては、死の望ましきことは幾度もある....
「時代色」より 著者:岡本かの子
上一般の実状が人々に強いるものはリアリズムである。如何に苦しく醜い現実でも青眼に
直視せよと言うのである。然らざれば生活の足を踏み滑らす。 リアリズムの用心深い....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
由ならず、足の運びも重いばかり、光った靴の爪尖と、杖の端の輝く銀とを心すともなく
直視めながら、一歩進み二歩|行く内、にわかに颯と暗くなって、風が身に染むので心着....
「人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
並べたように、それぞれ一と山盛をなして置きならべられた。僕は不図、それ等のものを
直視した。すると、俄かに自分の脳髄がグッと掴まれるような感じがした。よくない傾向....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
、そうした特異事情を醸し出したのではなかろうか。即、目眩く如く、三尊の光転旋して
直視することの出来ぬことを表す語とも見られるのである。即みくるべであろうと思うの....
「バットクラス」より 著者:岡本かの子
感する屈折光線の世界にしばらく楽な新味を貪ろうとする。この錯覚の世界もまた当面に
直視するとき立派な事実の認識として価値を新に盛って来るのだが、夫人はそれ程骨を折....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
った。 もっとも、少しは意識的に、わざとそうしているところもあった。冴子の顔を
直視しないのも冴子への興味をなるべく見すかされたくないためだったかも知れない。 ....
「俗臭」より 著者:織田作之助
た。この時の千恵造の心理状態は描写に価するものがあるが、こゝではその煩を避ける。
直視しがたい様な自分の奇妙な表情を洗面所の鏡にちらりと見て、千恵造は部屋に戻った....
「味覚の美と芸術の美」より 著者:北大路魯山人
つもりで、これを殺している。たまたま不世出の天才と言われる人が、わずかに自然界を
直視し、天成の美を掴み得るに過ぎないのだ。 だから、われわれはまずなによりも自....