相剋[語句情報] »
相剋
「相剋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
相剋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
、私は人瘤《ひとこぶ》を探し当てました。それが私をまったく平静にして、あの烈しい
相剋が絶えずひしめき合っていてさえも、いっこう爆発を惹《ひ》き起すまでには至らな....
「映画と癩の問題」より 著者:伊丹万作
ということなのだ。癩者は、彼が無心に生きている瞬間においてさえ、その存在と激しく
相剋しているのである。つまり癩者と普通の人間とは決して相いれない存在なのである。....
「光の中に」より 著者:金史良
もの」に対する無条件的な献身と「母のもの」に対する盲目的な背拒、その二つがいつも
相剋しているのであろう。殊に身を貧苦の巷に埋めている彼であって見れば、素直に母の....
「三十歳」より 著者:坂口安吾
しようと考える。すると、それも、いつしか矢田津世子になっている。気違いめいたこの
相剋は、平凡な日常生活の思わぬところへ別の形で現れてもいた。 そして私が「いづ....
「学生と生活」より 著者:倉田百三
青年にあっては、学への愛も恋への熱もともに熾烈でなくてはならぬ。この二つの熱情の
相剋するところに学窓の恋の愛すべき浪曼性があるのである。 かようにして私は真摯....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
ままに放っておくことができないのは、可憐な記代子に断ちがたいミレンのあるせいだ。
相剋する二つの心を、興ざめた目で見送る以外に手もない。 「なア。よく考えてくれよ....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
わせた形は、胎内における双胎児のそれではないか。まったく、身も世もないあの烈しい
相剋のなかで、静かに天鵞絨のうえを滑ってゆく思考の車があったのだ――それに今まで....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
るべき識者にしても恐らくそうであったと思われる。一口にいえば文明開化と国粋思想の
相剋である。それが将来に如何なる展開を示すものか、その意義を正しく認識し批判し得....
「明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
係の矛盾も、資本主義が発展した段階に於て遂行する戦争とプロレタリアートとの利害の
相剋も、すべてが戦線に出された兵卒に反映し凝集する。それは加熱された水のようなも....
「荘子」より 著者:岡本かの子
岩のような額は意志的のもののようにも見える。全体からいっていろいろなものが錯綜し
相剋し合っている顔だ。 荘子の腰を下している黍畑の縁の土坡の前は魏の都の大梁か....
「妖怪学」より 著者:井上円了
ぎに、世間に行わるる五行、支干の占法あり。これ、五行を天地万物に配当して、相生、
相剋を見て吉凶を判ずるなり。相生とは、水より木を生じ、木より火を生ずるの類をいう....
「イプセン百年祭講演」より 著者:久保栄
のピントが、女主人公のノラにばかり集中されて、ヘルマアと彼女との深刻な家庭生活の
相剋として、この両者に同じような比重を分け与えることができなかった。そういうよう....
「迷信解」より 著者:井上円了
て、人の性質を鑑定し、かれは火の性である、これは水の性であるという。これを相生、
相剋と申すことがある。すなわち、木は火を生ずるものとし、水は火に克つものとするの....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
。少くとも明治以前においては、というよりも江戸時代以前においては、漢文学の魔力と
相剋していた故に、日本語の歌は、短歌という前に先ず和歌であったのである。ところで....
「文化線の低下」より 著者:小川未明
ろう。故に、一つの主義が勃興すれば、それと対蹠的な主義が生起する。かくして、その
相剋の間に真理は見出されるのを常とします。しかし、真の殉教者は、そのいずれに於て....