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相待
「相待〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
相待の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
けそうで明けない短か夜の空は国の方で見るよりもずっと長い黄昏時《たそがれどき》と
相待って、異国の客舎にある思をさせる。隣室の高瀬も、仏蘭西人の弁護士もまだよく寝....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
ったが、修禅寺の御座所ももはや眼のまえじゃ。この橋の袂にたたずみて、お帰りを暫時
相待とうか。 僧 いや、いや、それはよろしゅうござるまい。桂殿という嫋女をお見出....
「大阪夏之陣」より 著者:菊池寛
あれば名は名乗らじ、我は秀頼の為に命を進ずる間、首取って高名にせよと、首を延べて
相待ける。 某、重て、士の道に|無首をとる。兼て申付たるか、下人は槍を合するや....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
き壊されずに続くものだろうか。とにかく、長い冬季を雪の中に過すような気候や地勢と
相待って、一般の人の心に宗教的なところのあるのは事実のようだ。これは千曲川の下流....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
けるなり。 されば父の愛と、このほのかなる望みとは、手を尽くしたる名医の治療と
相待ちて、消えんとしたる彼女が玉の緒を一たびつなぎ留め、九月|初旬より浪子は幾と....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
ぐに石動から御堂へ戻ると、貴辺はまだ上りがある。事に因ると、先へ帰って茶を沸して
相待てます。それが宜しい、そうなさって。ああ、御承知か。重畳々々。 就きまして....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
は安慰と快楽とを与うるは壮年者の大責任たり。依て安慰、滋養品、運動との三は、実に
相待てこそ長寿すべきを能く銘記あらんことを祈る。寛は幸にして此|三を以てするに怠....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
な点と、「風を時じみ」の如く圧搾した云い方と、結句の「つ」止めと、そういうものが
相待って綜合的な古調を成就しているところを学ぶべきである。第三句の字余りは、人麿....
「映画雑感(Ⅵ)」より 著者:寺田寅彦
画では珍しくもない技巧であるが、しかしこの場合にはこの技巧が同時に聞かせる音楽と
相待ってかなりな必然性をもって使用されており、これによってこうした発声映画にのみ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
れでも外国文化の移入は国粋思想の抵抗によってそれほどの影響も受けずに、むしろ両々
相待って進んで行った。国学の再興にしても、その根蔕には文化に対する新しい見解が含....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
。そのよい例がこの私で。私の狂言の流派といえば、ご承知の通り鷺流なので、大蔵流と
相待ちまして、幕府方のお狂言でござります。ところが私は京師のお狂言の、和泉流を習....
「学校教育における図書館の利用」より 著者:佐野友三郎
は固より当然にして、小学校における読書趣味、図書館趣味の素養は通俗図書館の普及と
相待ちて国民教化の活動始めて全きを見るべし。然れども参考作業のためにも、一般読書....
「米国巡回文庫起源及び発達」より 著者:佐野友三郎
巡回文庫の駐在所を得べく、郡立図書館は、巡回文庫によりて図書の供給を得べく、彼此
相待て地方の知識開発上、その益少からざるべし。殊に巡回文庫は、未だ本邦に例なきが....
「温泉雑記」より 著者:岡本綺堂
箱根や熱海に遊んで来ることが出来るようになったのであるから、鉄道省その他の宣伝と
相待って、そこらへ浴客が続々吸収せらるるのも無理はない。それと同時に、浴客の心持....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
、既に手元に入りたれば、船頭も心得て、玉網を擬し、暗流を見つめて、浮かば抄わんと
相待つ。此方は、成るべく、彼を愕かさじと、徐々と、一尺引き五寸引き、次第に引き寄....