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「相打〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

相打の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
した。が、同時に多門の竹刀も数馬の面《めん》を打ったのでございまする。わたくしは相打《あいう》ちを伝えるために、まっ直に扇を挙げて居りました。しかしその時も相打....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
、突然暗黒な物凄い空間の中に眼が覚める。周囲からは鼓膜でも破り相な勢で鉄と鉄とが相打つ音が逼る。動悸が手に取る如く感ぜられて、呼吸は今絶えるかとばかりに苦しい。....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
生命の終る後、幾百年にも活けるがごとく伝えらるる長い時間のあるを知るか。石と樹と相打って、火をほとばしらすも瞬く間、またその消ゆるも瞬く間、銃丸の人を貫くも瞬く....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ア」と幽かに呟いただけで、伸子の顔がみるみる蒼白になっていった。それは、魂の底で相打っているものでもあるかのような、見るも無残な苦闘だった。しかし、五、六度|生....
ストリップ修学旅行」より 著者:小野佐世男
ニングしたり、おたがいの髪をつかみ合いをしてたわむれたり、まろびつころびつ女体の相打つ響が白い餅をつくように心地よげな音をたてている中を、 「降参々々々々」 ....
剣侠」より 著者:国枝史郎
において、偶然彼と逢いましてな、懇望されて立合いましたが……」 「勝負は?」 「相打ち」 「…………」 「見事に足を。……」 「足を?」 「さよう。払われました....
花咲ける石」より 著者:坂口安吾
りまわしているような錯覚を感じる。武蔵も夢想権之助の棒には手を焼き、一般にこれを相打ちと称されているが、実際には武蔵が一生に一度の負けをとっている事実があるのだ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
じくじりじりと砂の上におろされましたので、さっと軍配が引かれるといっしょに、肉弾相打って国技の精緻《せいち》が、いまやそこに現出されんとした瞬間――まことにどう....
映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
はり、音の生成機巧に共通なところがあるからであろう。すなわち、浜べで無数の砂利が相打ち相きしるように無数の蝗の羽根が轢音を発している、その集団的効果があのように....
寛永武道鑑」より 著者:直木三十五
質問をしたのに、興をさまして、黙っていると、半兵衛が 「槍をとれば、大言ながら、相打ちにまでは勝負しよう」 そう云うと、立上った。問うた者が、周章《あわ》てて....
巌流島」より 著者:直木三十五
か一寸の内にあり」 と云っている。宗矩がある浪人と試合した時、どう見てもそれは相打としか見えなかった。浪人を抱えている大名も相打だというし、浪人も相打だという....
南国太平記」より 著者:直木三十五
るか、受けきれずに、どっかを斬られるか、それだけであった。 だが、たった一つ、相打になる手はあった。一木の、決死の斬込みに対して、斬らしておいて、突くという手....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
兵馬の竹刀それよりも速きか遅きか突き! これは前のよりも一層深かった。尋常ならば相打ち。問題はいずれの刀がどれほど深いか浅いかであって、島田虎之助はそれを何とも....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
うなものよ、正宗《まさむね》の刀であろうと竹光《たけみつ》のなまくらであろうと、相打てばきっと火が出る、一方が強ければ一方が折れる分のことだ。おれをここまでつれ....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
暮れ近い薄日を映えさせて、時ならぬ剣林、怒罵《どば》、踏み切る跫音、気合いの声、相打つ銀蛇《ぎんだ》、呼吸と、燃える眼と――。 あわてたのは承知の由公で、剣の....