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真暗
「真暗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
真暗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
むほうの側には、樫や栗の木立に野葡萄の蔓が厚くからみついて、あたりを洞穴のように
真暗にしていた。この橋をわたるのは、世にもつらい責苦だった。まさにこの地点で薄幸....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
へ帰って来ると、白い子犬を抱いたなり、二階の寝室へ上《のぼ》って行った。そうして
真暗な座敷の中へ、そっとこの憐れな動物を放した。犬は小さな尾を振りながら、嬉しそ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
いる通り、剣の山や血の池の外にも、焦熱地獄という焔の谷や極寒地獄という氷の海が、
真暗な空の下に並んでいます。鬼どもはそういう地獄の中へ、代る代る杜子春を抛りこみ....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
つとおどかされながら、同宿の者数名とともに戸山ヶ原騎兵連隊の営倉にぶちこまれた。
真暗で妙なにおいだけが鼻につく営倉の中で落付けるわけがない。翌日の夜練兵場に引張....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
戦いているのでした。『誰人も迎えに来てくれるものはないのかしら……。』私はまるで
真暗闇の底無しの井戸の内部へでも突き落されたように感ずるのでした。 ほとんど気....
「親子」より 著者:有島武郎
すから。御免」 「御免」という挨拶だけを彼に残して、矢部は星だけがきらきら輝いた
真暗なおもてへ駈け出すように出て行ってしまった。彼はそこに立ったまま、こんな結果....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
には空屋《あきや》が四軒までならんでいた。小さな窓は髑髏《どくろ》のそれのような
真暗な眼を往来に向けて開いていた。五軒目には人が住んでいたがうごめく人影の間に囲....
「火事とポチ」より 著者:有島武郎
走って来た。ぼくはおとうさんにはなんにもいわないで、すぐ上がり口に行った。そこは
真暗《まっくら》だった。はだしで土間《どま》に飛びおりて、かけがねをはずして戸を....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
。三人はポルタ・ヌオバの門番に賂して易々と門を出た。門を出るとウムブリヤの平野は
真暗に遠く広く眼の前に展け亘った。モンテ・ファルコの山は平野から暗い空に崛起して....
「星座」より 著者:有島武郎
守番の台所口に乱雑に脱ぎ捨ててある教師たちの履物《はきもの》の中から、自分の分を
真暗らな中で手さぐりに捜しあてて、戸外に出た。
戸外は寒く
真暗らだった。すると....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
顔を睨《にら》みつけました。僕の体《からだ》はひとりでにぶるぶる震えて、眼の前が
真暗《まっくら》になるようでした。いいお天気なのに、みんな休時間を面白そうに遊び....
「僕の帽子のお話」より 著者:有島武郎
出しました。広い野原に来ていました。どっちを見ても短い草ばかり生えた広い野です。
真暗《まっくら》に曇った空に僕の帽子が黒い月のように高くぶら下がっています。とて....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
通る。もう開けた店には客が這入る。 フレンチは車に乗った。締め切って、ほとんど
真暗な家々の窓が後へ向いて走る。まだ寐ている人が沢山あるのである。朝毎の町のどさ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
思わずよろよろと退って、引くるまる裳危く、はらりと捌いて廊下へ出た。 次の室は
真暗で、そこにはもとより誰も居ない。 閨と並んで、庭を前に三間続きの、その一室....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
の、こは玉となって砕けたか。待て、人の妻と逢曳を、と心付いて、首を低れると、再び
真暗になった時、更に、しかし、身はまだ清らかであると、気を取直して改めて、青く燃....