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「真盛り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

真盛りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
二十一 それから一月ばかりと申すものは、何事もなくすぎましたが、やがて夏も真盛りのある日の事、加茂川《かもがわ》の水が一段と眩《まばゆ》く日の光を照り返し....
自叙伝」より 著者:大杉栄
のところにあった。 あの夏の日、僕は虎公と一緒に加治山へ遊びに行った。山百合が真盛りだった。 虎公は百合の根を掘りはじめた。虎公はその家の裏に広い畑があって....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
らあの三叉箭が、裏庭の蔬菜園から放たれたのだと云いますがな。何故なら、今は蕪菁の真盛りですよ。矢筈は蕪菁、矢柄は葭――という鄙歌を、たぶん貴方は御存じでしょうが....
毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
に、大きなヘルメットをかぶって、飾窓をのぞきこんでいた。 南京路の雑沓は、今が真盛りであった。 金博士の視線は、さっきから、飾窓の小棚にのせられてある洋酒の....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
せてくれた。 町は博覧会のためにかなり賑わっていた。道後の公園はちょうど夜桜の真盛りだった。夜桜の点景人物は概して男と芸妓だった。それらの情景のためにわれわれ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
続きの、邸ごとに、むかし植えた紅梅が沢山あります。まだその古樹がちらほら残って、真盛りの、朧月夜の事でした。 今|貴僧がここへいらっしゃる玄関前で、紫雲英の草....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
りざんざ降だった、雨の停車場の出はずれに、薄ぼやけた、うどんの行燈。雨脚も白く、真盛りの卯の花が波を打って、すぐの田畝があたかも湖のように拡がって、蛙の声が流れ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ら外れる訳にはまいりませんでした。私の三浦へ嫁ぎましたのは丁度二十歳の春で山桜が真盛りの時分でございました。それから荒井城内の十|幾年の武家生活……随分楽しかっ....
フランダースの犬」より 著者:菊池寛
バケツ、その他いろんな瀬戸物類、真鋳類、錫類などが山と積んでありました。丁度夏の真盛りでその暑さと言ったらありません。そうした中をパトラッシュは一日中何も食べず....
獄中消息」より 著者:大杉栄
のと言って来るが、桐は入獄した時にすでに葉ばかりになっていた。ジャガ芋の花は白く真盛りに咲いている。臭いいやな花だ。 枯川老および兄キの病気よきよし、喜んでい....
」より 著者:岡本かの子
用患者の散歩場だ。広い芝生に草木が単純な列を樹てて植えつけてある。今は桜ばかりが真盛りだ。 庭の真中を横断する散歩道の両端には、殊にも巨大な桜が枝を張り、それ....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
、軽い撥を真似て、白い指を弾いた。 「頭の顱じゃあないけれど、額の椀の蓋は所作|真盛り。――(蟷螂や、ちょうらいや、蠅を取って見さいな)――裸で踊っているのを誰....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
方へ往った。白雲の去来|烈しく、少しく寒い朝であった。 早川渓谷の秋は、いまは真盛りで、いたるところの草木の色は美しい。細い細い道を辿ってゆくと、時として杉の....
胡瓜」より 著者:北大路魯山人
ぐなのがよく、ひょうたん形のものはまずい。総じてよいきゅうりは形が平均している。真盛りになると、大きくなっても種がないうちはうまいが、種ができるように成長してし....
日本料理の要点」より 著者:北大路魯山人
み生きるものではないということを考えねばならない。 試しに秋もたけなわの松茸の真盛りのとき、松茸の香味の絶頂に達したころ、三流どころの料理屋ならいざ知らず、も....