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真鍮
「真鍮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
真鍮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
頃、年の若い彼の叔母は年始か何かに来ているうちに乳の張ったのを苦にし出した。乳は
真鍮《しんちゅう》の嗽《うが》い茶碗《ぢゃわん》へいくら絞っても出て来なかった。....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
しましょう。」
重吉は幾分か間の悪さを感じ、何度も事務員に礼を言った。事務員は
真鍮《しんちゅう》の眼鏡をかけた好人物らしい老人だった。
「いえ、何、お礼には及....
「母」より 著者:芥川竜之介
花瓶に素枯《すが》れた花は、この間《あいだ》に女中が取り捨ててしまう。二階三階の
真鍮《しんちゅう》の手すりも、この間に下男《ボオイ》が磨くらしい。そう云う沈黙が....
「彼」より 著者:芥川竜之介
《くび》を曲げながら、いつもトランプの運だめしをしていた。そのまた彼の頭の上には
真鍮《しんちゅう》の油壺《あぶらつぼ》の吊《つ》りランプが一つ、いつも円《まる》....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
とにかく、金無垢だぜ。あの煙管は。」
「知れた事よ。金無垢ならばこそ、貰うんだ。
真鍮《しんちゅう》の駄六《だろく》を拝領に出る奴がどこにある。」
「だが、そいつ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ず》している場合じゃない――そんな事もはっきり感じられた。彼はすぐに立ち上ると、
真鍮《しんちゅう》の手すりに手を触れながら、どしどし梯子《はしご》を下りて行った....
「少年」より 著者:芥川竜之介
》にかぶった、妙に生意気《なまいき》らしい少女である。少女は自働車のまん中にある
真鍮《しんちゅう》の柱につかまったまま、両側の席を見まわした。が、生憎《あいにく....
「或る女」より 著者:有島武郎
ような暗い廊下をちょっとはいると、右の戸に「医務室」と書いた頑丈《がんじょう》な
真鍮《しんちゅう》の札がかかっていて、その向かいの左の戸には「No.12 早月葉....
「或る女」より 著者:有島武郎
子をまともに見つめながらいった。そして油でよごれたような赤い手で、せわしなく胸の
真鍮《しんちゅう》ぼたんをはめたりはずしたりした。
「なぜですの」
「木村は困り....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、藤屋の前を通った時は、前度いかい世話になった気で、薄暗いまで奥深いあの店頭に、
真鍮の獅噛火鉢がぴかぴかとあるのを見て、略儀ながら、車の上から、帽子を脱いでお辞....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
俥夫と話がはずむと、壱岐殿坂の真中あたりで、俥夫は吹消した提灯を、鼠に踏まえて、
真鍮の煙管を鉄扇で、ギックリやりますし、その方は蝦蟇口を口に、忍術の一巻ですって....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ていたので、人々は恐ろしい彼が通るということを知って、みな散りぢりに逃げ出した。
真鍮の金属性の音はいたずらに静かな大空にひびいて、荒野のあなたに谺していた。ラザ....
「凧の話」より 著者:淡島寒月
。「うなり」は鯨を第一とし、次ぎは籐であるが、その音がさすがに違うのである。また
真鍮で造ったものもあったが、値も高いし、重くもあるので廃ってしまった。今日では「....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
機械を作ろうとした。初めに作ったのは、直径十二インチ、厚さ五分の一インチの銅板を
真鍮の軸で廻し、この板を大きな磁石の極の間に置き、その両極の距離は二分の一インチ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
とか、あるいはそれに似たもので簡単に退治できる敵と戦いさえすればよかったし、鉄や
真鍮でできた門を通り、鉄石の壁をこえ、城の本丸に入りこみ、意中の女がとじこめられ....