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眺める
「眺める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
眺めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
同じ劇場の裏の上部。火のともった窓には踊り子が一人現れ、冷淡に目の下の往来を
眺める。この姿は勿論《もちろん》逆光線のために顔などははっきりとわからない。が、....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
ものは一つもなかった。実際彼は人生を知る為に街頭の行人を眺めなかった。寧ろ行人を
眺める為に本の中の人生を知ろうとした。それは或は人生を知るには迂遠《うえん》の策....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
がね》をかけながら、まるで後見《こうけん》と云う形で、三浦の細君と並んでいるのを
眺めると、何と云う事もなく不吉な予感に脅《おびや》かされずにはいられませんでした....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
見ると、又僕をそっちのけに彼女に愛嬌《あいきょう》をふりまき出した。彼女は外光に
眺めるよりも幾分かは美しいのに違いなかった。少くとも彼女の笑う度にエナメルのよう....
「葱」より 著者:芥川竜之介
暴騰した今日《こんにち》、一束四銭と云う葱は滅多にない。この至廉《しれん》な札を
眺めると共に、今まで恋愛と芸術とに酔っていた、お君さんの幸福な心の中には、そこに....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
けはもう少し楽にしてやりたいと思うがね。」
賢造はじっと暗い中に、慎太郎の顔を
眺めるらしかった。
「お前のお母さんなんぞは後生《ごしょう》も好い方だし、――ど....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
》までも残っていました。何でも淀屋辰五郎《よどやたつごろう》は、この松の雪景色を
眺めるために、四抱《よかか》えにも余る大木をわざわざ庭へ引かせたそうです。
(大正十一年三月)....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ている。どちらも弱い者には堪えることは出来ない。
又
まことに自由を
眺めることは直ちに神々の顔を見ることである。
又
自由主義、自由恋愛....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
を洩すと、おずおず壁上の名画を見ながら、こう言葉を続けるのです。
「実はあの画を
眺めるたびに、私《わたし》は何だか眼を明いたまま、夢でも見ているような気がするの....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
う》の仔細《しさい》を問い質《ただ》した。が、男は、物々しい殿中の騒ぎを、茫然と
眺めるばかりで、更に答えらしい答えをしない。偶々《たまたま》口を開けば、ただ時鳥....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
りに蹄《ひづめ》のついた栗毛《くりげ》の馬の脚に変っていたのである。彼はこの脚を
眺めるたびに何とも言われぬ情《なさけ》なさを感じた。万一この脚の見つかった日には....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
雲が重なり合って、広い大川の水面に蜆《しじみ》蝶の翼のような帆影が群っているのを
眺めると、新蔵はいよいよ自分とお敏との生死の分れ目が近づいたような、悲壮な感激に....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
ぼんやりしていた。僕は光線の加減かと思い、この一枚のコンテ画をいろいろの位置から
眺めるようにした。 「何をしているの?」 「何でもないよ。……唯あの肖像画は口の....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
中したかが窺われる。 田園生活や、文学美術の事にも時間を費さない。鳥や獣や花を
眺めるのは好きだったが、さてこれを自分で飼ったり作ったりして見ようとはしなかった....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
人殺しの道具を引き摺って街を歩く。黒い服を身に着けた通行者は、羨ましそうにそれを
眺める。それは、殺すということが、生きものの心の中に自然が投げ込む大きな歓喜に外....