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眼界
「眼界〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
眼界の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
かわからない。が、これは思わず彼が手を伸ばして、捉《とら》えようとする間もなく、
眼界から消えてしまった。消える時に見ると、裙子は紗《しゃ》のように薄くなって、そ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
ように閃いた。と思うと、電車はもう速力を早めて、窓の内の二人の姿も、見る見る彼の
眼界を離れてしまった。
その後を見送った俊助は、まだ一種の興奮が心に燃えている....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
、第二の私は丁度|硝子《ガラス》に亀裂《きれつ》の入るような早さで、見る間に私の
眼界から消え去ってしまいました。私は、夢遊病患者《ソムナンビュウル》のように、茫....
「星座」より 著者:有島武郎
五体の奥の方だけを動くようで、それが胸のところを下の方から気味悪るく衝き上げた。
眼界がだんだん狭まって、火鉢にかざされた、長い指の先がぶるぶる震えどおしている。....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
しつつ見送りたりしに、車は遠く一団の砂煙《すなけぶり》に裹《つつ》まれて、ついに
眼界のほかに失われき。 旅商人体《たびあきゅうどてい》の男は最も苛《いらだ》ち....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
に上げた、しゃん、しゃん、しゃん、しゃんしゃん、しゃんしゃん、――見る間《ま》に
眼界を遠ざかる。
婦人《おんな》は早や衣服《きもの》を引《ひっ》かけて縁側《え....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
は疾《とく》に渠らを通り越し得たりしならん、あるいはことさらに歩をゆるうせんか、
眼界の外に渠らを送遣し得たりしならん。されども渠はその職掌を堅守するため、自家が....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
けがしてまっかに汗ばんで来た。今までがんじょうにかぶっていた頭巾をはねのけると、
眼界は急にはるばると広がって見える。 なんという広大なおごそかな景色だ。胆振の....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
スキーを抱えながら歩いて行く。左手は線路の下の谷をへだてて真白な山が並んでいる。
眼界はことごとく雪である。二つばかりトンネルをくぐって、いよいよ左手の谷に下りる....
「転機」より 著者:伊藤野枝
、何しろそれは驚くべき広大な地域を占めていた。こうして高い堤防の上に立つと、広い
眼界がただもう一面に黄色なその窪地と空だけでいっぱいになっている。 その思いが....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
る、世にも忌わしき乞食僧あり、その何処より来りしやを知らず、忽然黒壁に住める人の
眼界に顕れしが、殆ど湿地に蛆を生ずる如く、自然に湧き出でたるやの観ありき。乞食僧....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
にょい、と皺面を出した…… 坂下の下界の住人は驚いたろう。山の爺が雲から覗く。
眼界|濶然として目黒に豁け、大崎に伸び、伊皿子かけて一渡り麻布を望む。烏は鴎が浮....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
歩たちまち丘下に起りて、一中隊の兵員あり。樺色の囚徒の服着たる一個の縄附を挟みて
眼界近くなりけるにぞ、お通は心から見るともなしに、ふとその囚徒を見るや否や、座右....
「初雪」より 著者:秋田滋
を描いている。遥か右のほうに当って、エストゥレルの山塊がながく海のなかに突き出て
眼界を遮り、一望千里の眺めはないが、奇々妙々を極めた嶺岑をいくつとなく擁するその....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
見る。山上に登躋すれば、ビクトリア州の平原を一望するに足るというも、雲煙のために
眼界を遮塞せらる。よって、ただちに帰路に向かい、クロイドン駅に降車す。林丘あり河....