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眼瞼
「眼瞼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
眼瞼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
た。しかし診察は無造作であった。聴診器を三、四か所胸にあてがってみた後、瞳を見、
眼瞼《まぶた》を見、それから形ばかりに人工呼吸を試み注射をした。肛門を見て、死後....
「宇宙女囚第一号」より 著者:海野十三
うようなものがついている。そいつはぐるぐるとうごめいていたが、おどろいたことに、
眼瞼と思われるものがぱちぱちと眼をしばたたいたのには愕いた。こんな人間は絶対にあ....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ほど真ッ黄色だった。鼻は細根の乾し蘿蔔を思わせるように、痩せて乾枯らびていた。下
眼瞼はだらりと垂れて、刷毛で書いたように、幅の広い黒い隈ができていた。しかし小さ....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
らめながら、お由の乳房の下へぴたりと耳を押しつけて見た。少しの鼓動も無い。すぐに
眼瞼をひらいて見たが、瞳孔はもう力なく開き切っていた。 「死んでいる。もう全く呼....
「赤外線男」より 著者:海野十三
少しひどいところまで、残る隈なく調べ、繃帯もすっかり取外させるし、眼鏡もとられて
眼瞼もひっくりかえしてみるというところまでやったんですが、何の得るところもありま....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
せていないで肉がボタボタしていることと、それから月の輪のような眉毛と腫れぼったい
眼瞼とまアそんなものじゃないこと」 「それだけ似ていれば……」 「それくらいの相....
「地球盗難」より 著者:海野十三
発見することが出来なかった。その上ドクトルは如何にも睡っていたらしく、眼鏡のない
眼瞼は腫れぼったく、そして上衣も着ていなかった。注意をしてみると、ドクトルのズボ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
れ草が甘く匂う。糺の森がぼーっと霞んで見えなくなる。おや自分は泣いてるなと思って
眼瞼を閉じてみると、雫の玉がブリキ屑に落ちたかしてぽとんという音がした。器用な彼....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
擬して言った。 「やあ、君、失敬」 眼を細眼に開けてはいるが、何か眩しいように
眼瞼を震わせ、瞳の焦点は座敷を抜けて遥か池か彼方の水先に放っている。それは小娘な....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
に、こういった。 「ええっと何と仰有る」と苅谷氏は驚愕のあまり紐のついた片眼鏡を
眼瞼から下へ落し、「家内を烏天狗に渡さないですむなら勿論結構この上なしですがね、....
「流線間諜」より 著者:海野十三
りも先に、倒れている婦人の脈搏を検べた。――指先には脈が全然触れない。つづいて、
眼瞼を開いてみたが……もう絶望だった。 「おお……死んでいる!」 「たいへんだ。....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
吸ぐるしさとに締つけられるように感じた。彼はゴホンゴホンと立てつづけに咳をした。
眼瞼をしばたたいて涙を払ったとき、彼は赤い焔が家々の軒先をつたって、まるで軽業の....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
いた。 ――あら、此処、何、ゴルフ場じゃ無いんでしょう。 アイリスは顳※や上
眼瞼に青筋のある神経質の小さな顔を怪訝に曇らせる。彼女の顔は晴れても曇っても品位....
「春」より 著者:岡本かの子
有るわよ。有るわよ。 京子は、頓狂に言って鏡を持たないあいている方の手の指で、
眼瞼を弾く。自分の手で自分の瞼を弾くのだから、いくらか加減して居るに違いないと思....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
ないという諦らめだけだった。何となく自分の不運ということだけが感じられて淡い涙が
眼瞼を潤おした。夜中頃、困憊してうとうとしかけた慧鶴の耳に火口から東海面へ二度ほ....